卒業、外登、軍事演習、制裁―3月に思う
広告
3月上旬、息子の中級部(中学)卒業式があった。4月には朝鮮学校の高級部(高校)に入学する。
「無償化」制度スタートから5年。いまだに朝鮮高校は排除されたままだ。この間、この問題に関連したくさん取材してきたし月刊イオでも多くの誌面を割いてきた。5年前は、息子はまだ初級部(小学校)に通っていた。
息子が高校に入るまでに解決されるだろう、解決していてほしい、と願っていたが、やはりそういうわけにはいかず、4月から直接の当事者となり、金銭的な重荷を背負わされることとなった。
3月上旬、外国人登録証明書を特別永住者証明書に切り替える手続きをした。くそ面倒くさいのに、市役所へ2度も足を運ばなければならなかった。2012年7月に新しい外国人の在留管理制度がスタートしたことによるものだ。
特別永住者証明書になって、常時携帯義務はなくなったが提示義務があり、提示義務を拒否したり、転入・転居・世帯変更などの変更事項の届出を14日以内に行わなかった場合の刑事罰はそのまま残されている。また、「みなし再入国許可」制度から「朝鮮籍」が排除されるという新たな差別も生み出した。
日本の植民地支配により存在する在日朝鮮・韓国人を管理・監視し続けるという日本政府の本質は何も変わっておらず、特別永住者証明書はその象徴としてある。
特別永住者証明書への切り替えは今年の7月8日までに行わないといけないので、まだの人は忘れないように。
3月上旬、米韓合同軍事演習の「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」がスタートした(2日)。
日本ではしきりに「北朝鮮の脅威」を騒ぎ立てて、朝鮮民主主義人民共和国が危険で「懲らしめるべき相手」であるかのように世論を作り上げているが、朝鮮とアメリカのどちらが圧倒的な軍事力を有しているのかは明らかであり、アメリカとそれに追従する国々は軍事演習を繰り返して朝鮮を脅し経済的な圧迫を続けている。
今回の米韓合同軍事演習に対して朝鮮中央通信は2日、朝鮮人民軍総参謀部のスポークスマン声明(1日)を伝えている。その一部を引用する。
「4月24日まで続く今回の「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」合同軍事演習は、朝鮮半島有事に米帝侵略軍の迅速な投入と前方展開、「連合軍」武力による不意の先制攻撃とわれわれの首脳部の「除去」「平壌占領」の目標まで達成するための危険極まりない北侵核戦争演習である。事態の重大さは、今回の北侵実戦演習が米帝の戦争の首魁であるオバマが最近、口角泡を飛ばしてわれわれが選択した思想をなくし、われわれが立てた制度を「崩壊」させることがアメリカ合衆国の政策目標であるとはばからず公言したのに続いて行われているところにある。」
朝鮮の反発は当然のことだ。
3月中旬、日本のマスコミは、日本政府が4月13日に期限を迎える朝鮮に対する独自の「経済制裁」を2年間延長する方針を示したことを伝えた。朝鮮に対する「経済制裁」は2006年から続けられており、今回延長されれば10回目の延長となり、2013年から期間も2年になった。
「経済制裁」とは相手に対する宣戦布告と同じようなものである。2年前にもこのブログに「特定秘密保護法とカナリアの朝鮮人」というタイトルで同じような内容のことを書いた。http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/9b08721f063e95568e3721ee96e05b16
2年前と違うところと言えば、2014年5月に朝・日間でストックホルム合意がなされ、朝・日の話し合いが進められいるところだろうか。話し合いをしようとする相手に「経済制裁」を加える。話し合いの意思があるとは、私には思えない。朝鮮の体制崩壊を目的とした米韓合同軍事演習に連動する形で日本の自衛隊も動いている。
「無償化」からの朝鮮学校排除、外国人に対する在留管理制度、米韓合同軍事演習、朝鮮に対する「経済制裁」…、私にとってこれらすべては、繋がっていると言えば繋がっている問題だ。
3月中旬、月刊イオ4月号が完成しました(17日)。いつもは、新しい号が完成したらすぐにこのブログで紹介するのですが、今回は遅くなり申し訳ありません。
4月号の特集は「はなまるソンセンニム」。朝鮮学校のために奮闘するソンセンニム(先生)たちを多彩な企画で紹介しています。授業に定評のある先生、クラブ活動の指導に熱心な先生、いろんなことでユニークな先生などを紹介。また、子弟の関係から現在はともに教員として働く先生の往復書簡、親子3代で教員をつとめる先生のルポ、40年以上を教員として奮闘してきた先生の手記などを掲載しています。
特集以外には、2月20、21日にかけて行われた「朝鮮学校で学ぶ権利を!! 朝鮮高校裁判支援全国統一行動」の模様を、東京をはじめ日本各地12ヵ所での抗議行動をまとめて掲載しています。また、在日本朝鮮人人権協会が主催したシンポジウム「現代日本の排外主義にどう立ち向かうか~ヘイト・スピーチ、歴史修正主義、民族教育を考える」での3人の報告の内容や、今年結成70周年を迎える留学同京都による総合文化公演「朝鮮の夜明け」の模様を紹介しています。
今月号も充実した内容でお届けしています。ご愛読ください。(k)