第5回東京コリアラグビーフェスティバル
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ラグビーをこよなく愛する同胞ラガーマンたちが、後輩たちの成長を応援しようと4月12日、第5回東京コリアラグビーフェスティバルを開催。晴天の空のもと、東京朝鮮中高級学校グラウンドには小学生から大学、社会人のラガーマン約600人が集まった。
イベントを主催したのは、東京朝鮮中高級学校闘球部後援会、東京中高闘球部父母会・父母OB会、在日本朝鮮人闘球協会、在日本朝鮮人東京闘球協会。今年創部40周年を迎える東京朝高ラグビーを応援し、悲願の「花園出場」を引き寄せようという思いが込められた手作りのイベントだ。
同校出身で昨年東芝ブレイブルーパスに入団した李聖彰選手の他、18人の日本人プロ選手も集結。東芝ブレイブルーパスから5人、サントリーサンゴリアスから14人のトップリーガーたちが参加し、ALL OUT INTERNATIONAL vs 練馬クラブの試合やサッカー教室を開き、鮮やかなプレーで会場を盛りあげていた。
李選手に誘われ、二つ返事で快諾したという元日本代表の吉田朋生選手は、「2019年のワールドカップに向けて、ラグビーをもっと広めたい。誘っていただいたらまた来ます」と笑顔。「東海大仰星高校時代に大阪朝高と対戦した思い出といえば、一人ひとりのスキルが高く手を抜けなかったこと。このようなすばらしいイベントを初めて知ったが、参加できてうれしい」と話す。吉田選手、試合後はチームメイトたちと七輪を囲んで楽しそうだった。
東京朝高ラグビー部キャプテンの文陽善さん(高3)は、プロ選手の指導について、「まず体が違った。基本を大事にする、という点は学生とプロも一緒だが、基本を極めようとする意識が違う」と刺激を受けた様子だった。また、対慶応高校戦で白星を挙げたことを「勝てて嬉しい。来週から春季大会の予選が始まるので、1ヵ月前からこの試合に勝つことを目指してきました」。
試合後には父母会手作りの朝鮮料理を囲み、東京朝高と慶応高校の生徒たちが交流。保護者たちは山のようなから揚げやキムチを用意し、生徒たちを歓待した。
この間、東京では小学生向けの高麗Jr、国籍、出自を問わないALL OUT INTERNATIONAL、東京第1アボジラグビー部などが生まれ、草の根レベルでラグビーを楽しむ人たちが増えている。裾野の広がりを見せるように、フェスタでは小学生から青年、中年と幅広い層のラガーマンたちが対戦。東京闘球団・高麗vs駒場WMM(19―34)、高麗Jr.vs練馬ラグビースクール(6-11)、東京第1アボジラグビー部vs神奈川闘球団・凱旋(タッチゲーム)の試合に続き、午後には、東京朝高 vs 慶応義塾高等学校(36―15)、東京朝中vs明武小東連合(公式戦、14―0)、朝鮮大学校vsくるみクラブ(60―0)の試合が続いた。
在日ラグビーの歴史を象徴していたのは、朝大ラグビー部とくるみクラブの対戦だ。
くるみクラブ創立者の桑原寛樹さん(88)は、「在日ラグビー界の父」と言われる故・全源治さんとの思い出を88歳と思えぬ記憶力で淡々と話してくれた。その横にいた、くるみクラブ11期生の水谷禎憲さん(66)は、「今から26年前でしょうか。朝大とくるみクラブが蔵王で一緒に合宿をしたことがあったのですが、今日その場にいたという朝大生の方が私を訪ねてくれました。世代を超えたつながり、人と人がつながる豊かさが今日のこの場にあった。このような交流を大事にしていきたいですね」と語る。
3年前から東京朝高ラグビー部後援会会長を務める金千一さん(49)は、「始めた頃は、こんなにたくさんの人が集まる今日のような日を想像できなかった。とにかく花園に出てほしいという思いばかりが先だって…。自分自身がラグビーを通じて成長させてもらい、数々の出会いに助けられてきたように、試合に勝った日も負けた日も、学生たちの成長を応援し、ラグビーの経験を生きる糧にしてほしいと思うようになった」としみじみ語っていた。
「皆でひとつになってぶち当たっていく、壁を越えていくことにラグビーの魅力がある。これからも、ラグビーの可能性にかけていきます」と力強く語るのは、イベント成功をけん引した東京中高ラグビー後援会の申ハンソル幹事長(37)だ。
ラグビーをこよなく愛する同校卒業生たちが作り上げたイベントは大盛況で、朝高グラウンドには、ラガーマンの闘志とともに、笑い声や声援があふれていた。(瑛、写真=盧琴順・朝鮮新報)