補助金停止から6年目、東京都庁へ要請に
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18日、東京都庁に朝鮮学校への補助金支給再開の要請に行ってきました。
東京都は2010年度から「私立外国人学校教育運営費補助」の対象から朝鮮学校をはずしています。当時1年生だった子どもたちも6年生。中学入学を目前にしています。2010年度から止められている補助金を合わせると1億を越える額です。
当時の都知事は石原慎太郎氏。日本政府が朝鮮高校を高校無償化からはずしたことを受け、地方自治体も右へ倣えとばかりに、補助金をストップさせましたが、その先頭に立ったのが、東京と大阪の知事たちでした。
…「そこで行われている授業の内容というのは、先ほども担当の局長に聞きましたら、行くと全然違う教科書を見せる。それから、そのときに限って適当な授業を見せる。それなら、その真偽をただすために、都の職員がやっぱり張りついて、一週間でも十日間でも一月でも、その実態を調査したらよろしいと思うし、それが嫌なら学校を閉鎖したらよろしいので、そういうことを強要できない相手に、私たち国民の税金を使って補助する必要は毛頭ないと私は思います」(東京都のHPから)
これは、2012年12月8日に石原知事が都議会で行った発言です。東京朝鮮学園が13日に反論の談話を発表しましたが、朝鮮学校を一度も訪れぬまま、それも事実をでっち上げてまで子どもの学ぶ権利を奪おうとする脅しの言葉。。。これが日本に暮らす外国人の2割=41万8000人の外国人を擁する首都東京のトップが口にできたものかと、わが耳を疑ったことを昨日のことのように覚えています。
その後、東京都の知事は変わり、猪瀬直樹知事時代には、朝鮮学校への補助金停止を正当化するための調査報告書を発表(2013年11月)。朝鮮学校への偏見をあおりつづけています。
この調査報告書に、外国人の子どもにも日本の子と等しく学ぶ権利がある、という視点は皆無です。その人を形づくる言葉や文化が、その人の成長にとってなぜ必要なのか、という視点もまったくありません。
東京都は、その後、施設・財産管理の面で、朝鮮学園が改善措置を講じたあとも、この調査報告書をHPにさらしつづけています。
東京朝鮮学園の6人の代表たちは、11月6日、補助金の支給再開と、2年以上もの間、東京都のホームページに載っている「朝鮮学校調査報告書」の修正、取り下げを求める要望書を東京都生活文化局私学部調整担当課長宛てに提出しました。昨日も、繰り返し、補助金の再開と調査報告書の取り下げを要望しましたが、取り下げるとの返事はありませんでした。
都は報告書で、朝鮮学校の教育内容について問題視しています。しかし、私立学校、とりわけ、各種学校である朝鮮学校について、教育内容がおかしい、修正しろなどという「介入する権限」「監督する権限」は法令上、都に認められていません。この点は都も認めています。しかし、報告書を撤回することはしない、矛盾した態度が続いています。
席上、在日本朝鮮人人権協会の代表は、「都は、アメリカンスクールで広島・長崎への原爆投下をどう教えているのか、調べたのですか? 朝鮮学校だけのあら探しをする、差別的な対応ではないですか?」と訴えました。また、東京オモニ会連絡会の厳広子さんは、「都の調査報告書を削除してほしい。朝鮮学校への偏見を煽り、差別される要因になっています」と一般市民の差別感情を地方自治体が率先して流布していることに、怒りをぶつけていました。
東京都の代表として全国大会への出場が決まった東京朝高ラグビー部保護者の朴明淑さんも席をともにしました。
朴さんは、「朝鮮学校の生徒たちは、自分たちが差別されていることを知っています。だからこそ、かれらは、公式戦で反則をおかさないよう、フェアプレーに務めてきました。子どもたちには、差別を受けている、という思いより、誇りをもって全国大会でも活躍してほしい。東京都にも応援してほしい。子どもたちが何の心配もなく打ち込めるよう、環境を整えてほしい」と切々と訴えていました。
2014年2月に東京の都知事に就任した舛添要一知事は、同年9月2日の定例記者会見の席で、記者の質問に対して以下のように答えています。
記者:東京都では、2010年度から補助金の支出、朝鮮学校に対して凍結してまして、昨年、支給しないことを…発表されているのですが、知事はこの政策、どのようにしていくべきだと思いますか?
知事:こういうのはやはり万機公論に決すべきでですね。要するに国益に沿わないことはやはり良くないということは片一方でありますけれども、しかし、どこの国の言葉でも、どこの国の子供でも教育を受ける権利はあるわけですから、そういうものを侵害してはいけない。そのバランスをどうとるのかなということが問題だと思います。
舛添知事も、朝鮮学校を取り巻く「政治」と子どもの教育保障の狭間でゆれているのでしょうか。
私もこの日、地域の代表として怒りをぶつけてきましたが、都の不支給により、年間100万円の穴があいています。日本の公立小学校に通うと、一人あたり年間約100万円の予算がつきますが、朝鮮学校の場合、たった一校でもこの額です。
2019年にはラグビーワールドカップ、2020年にはオリンピックが行われるという東京都。
外国人学校の振興を目的とした補助金をただひとつ・朝鮮学校だけに支給しないことが、首都東京で続けられていることは、国連でも勧告が出され、まさに国際問題になっています。
東京都には一日も早く補助金を再開して、子どもたちの学ぶ権利を保障してほしい!(瑛)