文科省通知撤回を~日本外国人特派員協会で記者会見
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日本外国特派員協会(東京・有楽町)で4月12日、慎吉雄・東京朝鮮中高級学校校長や同校生徒、保護者たちが記者会見し、文部科学大臣が都道府県知事宛に補助金廃止を促した通知(3月29日)の撤回を求めた。
慎校長は、日本政府が朝鮮民主主義人民共和国と総聯との関係を問題視し、朝鮮学校生に限って地方自治体の判断に委ねられている補助金について、「留意」を促す異例の通知を出したことは、「就学支援金制度からの除外に続くもので、前代未聞の差別。激しい憤りを感じる」と通知の撤回を求めた。
在日本朝鮮人人権協会の金優綺さんは、地方自治体が朝鮮学校に支給している補助金の歴史を説明。1965年に文部省(当時)が各地の都道府県が朝鮮学校を認可すべきでない、と弾圧を強めるなかでも、各自治体が民族教育の公益性を認め、独自に支給してきたと語った。しかし、日本政府が朝鮮高校を無償化から除外しはじめた2010年以降に状況が急変。東京や大阪で、知事自ら補助金停止をリードしたことに象徴されるように、「日本政府の差別が自治体の朝鮮学校差別を招来した」とし、国連の人権条約審査機関から、何度も是正勧告が出されているが、日本政府は無視を決めこみ、国連勧告に背いていると非難した。
記者会見では現役の高校生たちも発言した。
ヒョン・スヒャンさんは、顔や名前を明かして、メディアに向けて発言することについて聞かれると「正直、とても怖い。それでも朝鮮人に生まれてきたのだから、普通に生きていきたい。日本の方が日本の歴史や言葉を学ぶように、私たちが朝鮮の歴史や言葉を習いたいと思うのは当然のこと。自分の子どもには、窮屈な社会で暮らして欲しくない。だから、リスクはあるけどここに来ました」と堂々と語った。また、リ・ヨンギさんは、「自分たちにも当然学ぶ権利がある。今までの歴史が差別によって汚されていることが許せない」と目を伏せながら言葉を搾り出した。
保護者代表のハン・ヨンスクさんは、「大人が白昼堂々と『朝鮮人死ね』という言葉を発する信じがたい状況になっている。日本と朝鮮半島の関係がぎくしゃくする中で、日本政府がこの動きに便乗して、在日コリアンの子どもの学ぶ権利を主導して差別していることにビックリしている」と怒りを抑えながら語っていた。
この日の記者会見を、Le Monde, France RTL, United Daily News, Singapore Press Holdings, The Japan Times, The Huffington Post、弁護士ドットコム、聯合ニュース、朝日、毎日、読売、共同通信、福岡放送、神奈川新聞、TBS、フリーランスの記者が取材、様々なメディアで紹介された。
通知が出た後、お上の顔色を伺い、来年度から支給しないと表明する自治体も出てきている。一方で、政治問題と朝鮮学校の子どもは関係ないと支給を続ける自治体も少なくない。
補助金交付は、納税の義務を果たす地域住民の「学ぶ権利」を保障しようと、続けられてきたものだ。
記者会見で若い高校生たちが勇気をふりしぼって発言する姿に、「なぜ私たちは、ここまで弾圧されなくてはならないのか」という思いが悔しさとともによみがえってきた。日本の公私立学校に比べて微々たる補助金、それも外国人学校の中で朝鮮学校だけが外されるというこの不条理。
慎校長は、無償化除外から6年、何度、記者会見の場に立ってきただろうか。
日本政府は兵糧攻めでウリハッキョの息の根を止めようとしている。その姿は、なんとも醜い。(瑛)