愛知で無償化第17回口頭弁論
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今週の月曜日、名古屋地裁で無償化裁判の第17回口頭弁論が行われました。当日はあいにくの雨。にもかかわらず、同胞と支援者、愛知朝高3年生をはじめとした学校関係者など、200人以上が傍聴券を求めて列をなしました。
今回、原告側弁護団は準備書面19とそれに関連する証拠のほか、準備書面20、21を提出。法廷では、矢崎暁子弁護士が準備書面19の要旨を陳述しました。その後、今後の裁判の日程調整に。裁判官が原告側にこれからの立証計画を早めに知らせるよう伝えたのですが、なんとなく急かしているような印象を受けました。
支援者たちのための報告集会では、矢崎弁護士が改めて準備書面19の要旨について解説。
書面ではまず、2016年3月29日、被告である文科省が28都道府県の知事に対して朝鮮学校への補助金支出について見直しを求める通知を発したことに触れながら、「この通知が出るまでの事実経過は、朝鮮民主主義人民共和国に対する『制裁』として発表されたことを示しており、本訴訟で問題となっている高校無償化制度から朝鮮学校を排除した被告の一連の行為もこれと同質性を有する」と主張しています。
その根拠として、自民党の拉致問題対策本部が2015年6月25日に発表した「対北朝鮮措置に対する要請」(以下、13項目制裁提言)を挙げました。この13項目制裁提言のうち、第7項には「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し、公益性の有無を厳しく指摘し、全面停止を強く指導・助言すること。併せて、住民への説明を十分に行うよう指導・助言すること」とあり、「対北朝鮮制裁」のために朝鮮学校への圧力を加えるということがはっきりすぎるほど明らかに書かれています。
13項目制裁提言はしばらく保留されていたものの、今年1月6日に朝鮮が核実験をしたことを受け、再浮上しました。そして2月17日、自民党の拉致問題対策本部の会合に文科省の担当者が出席し、「文科省としては、地方公共団体に対して通知を出すべく検討している」と回答。実際に通知が出される流れにつながってしまいました。
書面では、自民党の議員によるブログ記事なども引用しつつ、補助金停止までの一連の事実経過をより詳細に展開しています。また、こうした国による差別行為が、地方にそのまま波及しているという事実を強く批判しました。国の差別政策を真正面から突いた、本質的な内容だといえます。
報告集会では他にも、支援者たちのアピールや質疑応答が行われ、連帯の気持ちや問題意識を共有しました。
最後に、中谷雄二弁護士が発言。「この日本は、『空気を読む社会』。周りが変わっていったらそれに合わせ、一人ひとりが自分の意見を言わない。非常に危険だと思います。また、マスコミが政府によって操作され、マスコミ自身もそれに迎合して委縮しはじめている。正確な情報は日本に住んでいる人たちには伝えられない。この国、この社会はどこに行くんだろうと自分が知らなければ、私たちは間違った方向に流される。そのことをよく知ってほしい」と呼びかけました。
また、冒頭にも書いた裁判官の焦ったような様子についても言及しました。「裁判長はおそらく、自分が担当している間に、原告と被告がだらだらと裁判を続けている状況を変えたいと思っているのではないか。このままいくと、裁判所主導で非常に短い審理期間で、不十分な主張・立証途中で、私たちは判決を押し付けられる可能性がある」。会場の支援者たちも真剣に耳を傾けていました。
中谷弁護士は続けて、「だから私たちが主導的に主張・立証計画を立てる必要がある。無償化からの朝鮮学校除外を主導した被告側の人物を尋問に呼ぶ、実際に朝鮮学校へ足を運んでもらうなど、私たちの側から提起して、進めていかなければならない」とのべた後、「朝鮮学校の生徒さんや保護者の方々にも証人台に立ってもらうことになるかもしれない。その時期が近づいてきた。私たちの側でこの裁判をリードしていく必要がある。みなさん一緒に頑張りましょう」と、改めて気を引き締めるよう強く訴えてあいさつを終わりました。
愛知無償化裁判も、また大きく進んでいくことでしょう。今後もしっかりと追っていきたいです。(理)
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