統一はつくるもの
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昨年の8月号、イオで「統一はロマン? ~70年の節目に」という特集を組みました。祖国統一を感じる瞬間に居合わせたり、統一のために行動している同胞たちの話を通して、私たち一人ひとりにとって統一とは何かを考えてみるという企画です。
私には誌面で紹介されたような、統一の重要性を肌で感じた強烈な体験というものがありません。なのでどの話も羨ましく読みました。世代や経験によっても実感は違うと思いますが、「統一は切実な問題」というのは知っているつもりでも、実際に自分自身や生活と結びつけるのは難しいな、とつねづね思っていました。
そんな中、もう2週間前になりますが、留学同東京地方本部、西東京本部が主催する「6.15連続講座~新たな統一時代を目指して~」の第1回講座に参加しました(全5回)。留学同とは「在日本朝鮮留学生同盟」の略称で、1945年に結成されました。日本の大学・短大・専門学校に通う同胞学生たちによる団体です。
第1回講座の内容は、韓国のドキュメンタリー映画「不安な外出」上映と、金昌五さん(韓統連青年学生育成委員長)による講演「分断をいかにして克服するのか」、そして大学生たちによるアピール。
「不安な外出」は、韓国の国家保安法によって10年間も指名手配され、5年の監獄生活を送ったユン・ギジンさんとその家族を追った作品です。ユンさんは何か過激なことをしたわけではなく、祖国統一と韓国の民主化を主張しただけ。必死の逃亡生活を送るものの、結局逮捕されてしまいます。指名手配中に結婚した妻と、その間にできた2人の娘とは、2011年まで一緒に暮らしたことがありませんでした。
ユンさんは言います。「国家保安法によって21世紀にこんな生活をする人がいるということを、ほかの人たちは知っているんだろうか?」。現代の韓国にこのような理不尽な体制が残っていることに、私もとても驚きました。
続いて行われた講演では、金昌五さんが朝鮮民主主義人民共和国と韓国を取り巻く世界情勢についてわかりやすく解説しながら、今後は新たな国際秩序ができ、祖国統一への展望がゆるやかに開けてくると強調。
「在日朝鮮人はよく統一の『架け橋』や『補助勢力』という言われ方をするが、決してそうではない。1945年の解放をもって、朝鮮半島では『朝鮮人』だという理由で差別を受けることはなくなった。しかし、在日同胞だけがいまだに民族差別を受け、朝鮮人としての尊厳を傷つけられている。これは祖国統一がなされ、私たちの地位が確立されなければ解決しない。したがって私たちこそが祖国統一運動の主体であり、統一への確信を持って行動していくことが大切だ」というお話が印象的でした。
大学生によるアピールでは、朝鮮大学校文学歴史学部2年の李忠慶さんが、去る6月15日に朝大で行われた6.15共同宣言16周年記念行事の経験について話しました。記念行事は朝大生と留学同メンバーらが協力して開催したもので、統一を願う合唱やパフォーマンスを披露したそうです。李さんは最後に、記念行事で発表した演目の歌詞を抜粋して参加者たちに呼びかけました。
《세상에서 가장 늦은 우리의 통일을 가장 멋진 통일로 만들어요!(世界で一番遅い私たちの統一を、一番すばらしい統一にしていきましょう!)》―。この歌も大学生が自分たちで作ったといいます。
最後に立正大学2年の朴綺羅さんがこの連続講座の趣旨について改めてプレゼンし、今後の講座の案内をしていました。
今講座の目的は「統一問題の当事者としてより深く学び、統一世論を再び周囲に喚起していく」こと。「喚起していく」という姿勢に、(かっこいいな!)と気持ちが高揚しました。
冒頭で、私には統一の重要性を肌で感じた強烈な体験がないと書きましたが、「原体験がないなら自分たちで作ればいいじゃない!」と、ワクワクした気持ちを持つことができました。若い世代は若い世代なりのアイデアと感性で、いくらでも楽しく統一について考えられるのだと思います。そのためには私たちがどんな環境の中で生きているのか、どんな問題があるのか、まず知ることが大切ですね。今後もぜひ参加したいです。
第2回講座は7月5日(火)に行われます。詳細は以下。(理)
講演「朝鮮分断史―1945年から1953年まで」
日時:7月5日(火)受付18:15/開演18:30
場所:国分寺Lホール・Aホール(JR国分寺駅ビル8階)
講師:李柄輝氏(朝鮮大学校教員)
参加費:500円
※講演後、学生のアピール
連続講座の詳細はこちら→http://rhtjnews.blog.fc2.com/blog-entry-37.html