東京都知事選と日弁連会長声明
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7月31日、地元では毎年恒例のハッキョチャリティー夜会が行われた。雨予報も出ていたので、ヤキモキしたものの、午後の早い時間にザーッと雨が降り、開始時間は、風も出て、ほどよい涼しさに。真夏に食べ物を売る側としては、理想的な環境となった。
この日のチャリティー金の目標は100万円。2010年に石原都知事が東京都内のウリハッキョへの補助金を止めたことから、本校は約100万円の教育資金がストップし、同胞社会の自助努力でこの穴を埋めている。
一日の作業を終えて、家に着くと、東京都知事選の結果が耳に飛び込んできた。都知事選の結果は、予想こそしていたものの、逃れられない現実を突きつけられた思いだった。候補に立ったレイシストが上位に入り、10万以上の票を巣くった現実も含め…。
しかし、この都政のなかでも、子どもたちに「学ぶ権利」はあると、保護者や教員たちは、東京都や区、市への訴えを6年間、続けてきた。これからも続くだろう。都知事選の結果も世論の現れだが、一方の世論もある。
7月29日には日本弁護士連合会から補助金停止に反対する会長声明が出た。力強い追い風! 声明の一部を紹介したい。
…朝鮮学校に通学する子どもたちも、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利である学習権(憲法26条第1項、同13条)を保障されている。
そして、朝鮮学校は、六・三・三・四を採用し、学習指導要領に準じた教育を行っている。そもそも、朝鮮学校は、歴史的経緯から日本に定住し、日本社会の一員として生活する、朝鮮半島にルーツをもつ在日朝鮮人の子どもたちが通う学校であり、民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に一定の社会的評価が形成されてきた(大阪高裁平成26年7月8日)。
当連合会は、全ての子どもたちが教育を受ける権利を平等に享受することができるよう、政府に対して、朝鮮学校に対する補助金交付の停止を、事実上、地方公共団体に要請している同通知の撤回を求め、また、地方公共団体に対しては、朝鮮学校に対する補助金の支出について上記憲法上の権利に配慮した運用を行うよう求めるものである。(日本弁護士連合会HPからhttp://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/160729.html)
今年の夜会には、卒業して朝鮮高校や日本の高校に進学した卒業生たちも、たくさん手伝いに来てくれた。厳しい現実はあるが、地域のみんなが「美味しいね、楽しいね」と集まれる、ハッキョというこの場を、この空気を、子どもたちが肌で感じながら、育ってほしい。皆さん、本当におつかれさまでした。(瑛)