今年は絵を描こう
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お盆休みは地元でゆっくり過ごした。ソンセンニムや同級生、先輩たちに会いたくてハッキョに寄ると、教員たちも休暇に入ったということで、当直をしていた先輩1人だけが教員室にいた。
その先輩とは朝高時代に一緒に吹奏楽部で活動した仲で、学生時代の思い出や今のハッキョのこと、近年結婚ラッシュで焦る、誰それも結婚するらしい、友人は料理教室に通い始めた…などというようなことを色々と話した。
久しぶりに会う人と話すのは面白い。学生時代にはできなかった話、正確に言えば考えもしなかった事柄を話せるようになるからだ。学生の頃には気づかなかった相手の一面や価値観を知ることができる。
会話の中で、趣味の話題になった。その先輩は3姉弟みな絵が上手で、学生の頃から在日朝鮮学生美術展で賞をもらったりしていた。しかし教員をする傍ら絵を描くことはなかなかできない、と少し残念そうにしていた。
私も3姉弟の絵を見たことがある。みな持ち味が違って、どこかの画廊に置かれていてもおかしくない素敵な絵ばかりだった。絵を描くことについてしばらく話しているうちに、私はふと昔のことを思い出した。
家族で旅行に行った時、道の途中に小さな絵画屋さんがあった。お店の前にいくつか絵が立てかけられていて、まずアボジがそれに食いついた。すると弟とオモニも思ったより関心を示して、「これも綺麗だね」「こういうのもいいな~欲しいな~」などと目を輝かせていたのだ。
アボジにそういう趣味があるのは知っていたが、まさか弟やオモニまでもそんなに強い食いつきを見せると思わなかったので少し驚いた。結局、アボジと弟が絵を買い、オモニが気になっていたものは数万円するとのことでそれは諦めた。
一様に満足そうな笑顔を浮かべる家族を見て、(へぇ…みんな結構絵が好きなのね)と妙に感心した。そして、顔も名前も知らない、どこにいるかもわからない人が描いた絵がこんなに人を喜ばせるんだ、となんとなく不思議に感じた。それなら娘である私が絵を贈ったらどんな反応をするだろう。自分もなにか描いてみようかな…と思ったのだった。
先輩と話しながら、よし、今年は絵を趣味にして年内中に一枚完成させてみようと決意した。
なんとなく水彩画をやりたいなと考えて試しにネットで検索すると、さまざまな作品や描き方が出てくる。どれも味があって見ているだけでワクワクしてきた。自宅のどこかに、以前マトリョーシカの色づけをする時に使った絵の具があったはず。そろそろ芸術の秋だし、タイミングもぴったりじゃないだろうか。
冒頭の画像は、スマホに入っている写真を水彩画のように加工してくれるアプリで編集したもの。まずはこれくらい小さくてもいいから、味のある絵が描けるように頑張ろう。(理)