大阪の「オープンカフェ」を取材して
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先月、大阪府東大阪市にある「オープンカフェ」を取材した。今年5月、社会福祉士の資格を持つ同胞がオープンした、児童発達支援・放課後等デイサービスだ。地域に住む未就学児や、小学校から高校までの障がいを持つ子どもたちが、コミュニケーション力や自己表現、就労支援などの「生きる力」をそれぞれのペースに合わせて学ぶことができる場所だ。
同施設には障がい者に限らず、地域の子どもたちも訪れる。過去に行われた「ふくろうカフェ」や「バルーンハウス」といったイベントには、朝鮮学校と日本の学校に通う子どもたちが参加。その他にもセミナー、朝鮮学校保護者の子育てサークルなどの場として利用され、大人たちも足を運ぶ。障がい者と健常者、在日と日本人、あらゆる人が集うことで、地域の壁をなくしてみんなが触れ合い学べる場を目指しているという。中には、コーヒーを飲みに立ち寄る人もいるそうだ。
運営をしている同胞は、大学時代から障がい者に関わる活動や仕事をしてきた。それまでは障がい者は「見えない存在」だったが、自分の視点が変わることで、社会の見え方が大きく変わったという。オープンカフェ開設の裏には、身近にいる障がい者の存在を地域住民や在日同胞たちに知ってもらいたいという思いがある。
「日本では今、社会に役に立つ人材になれるかどうかという観点から教育が行われていて、一人ひとりに合わせた教育にはなっていない。障がい者に対する理解も以前より広がってはいるけれど、それは日本の経済的発展の中で可能だったことで、余裕がなくなると弱者への支援は当然のように削られてしまう」
私が朝鮮学校に通っていた時、障がいを持ったクラスメイトがいた。明るくて活発で、羨ましいくらい周囲と打ち解けるのが得意。私にとって、それまで接する機会がほとんどなかった障がい者を身近に感じた期間だった。ただ、今回の取材の後に改めて振り返ってみると、朝鮮学校に通っていない障がいを持った同胞たちのことを、あまり想像できていなかった。色々な取材を重ねながらも感じることだが、私が認識している枠は想像以上に狭い。視野を広げたり、違う角度から物事を見るためには、もっと積極的に自分から知ろうとしないといけないなとも反省した。(S)