「崔順実ゲート」に揺れる韓国
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韓国で今、朴槿恵大統領をめぐるスキャンダルが国中を揺るがせている。
大統領の演説文や閣議の資料などの機密文書を知人の民間人女性・崔順実氏(60)に流出させていた疑惑がそれだ。崔氏は大統領の40年来の友人とされている人物で、大統領にさまざまな助言をしていたほか、青瓦台(大統領府)の高官らと接触して人事、外交など国政全般に介入していた疑いがかけられている。また、大統領府や財界の後押しで設立した財団の資金を私的流用していた疑惑も浮上しており、朴大統領は就任以来、最大と言ってもいいような窮地に立たされている。
メディアには連日、崔氏を指す「비선실세」(陰の実力者)というワードが踊っている。
これらの疑惑が大がかりなスキャンダルに発展した直接のきっかけは、ケーブルテレビ局「JTBC」が10月24日、崔氏のパソコン内のファイルを入手し、その内容を報じたことだった。そこには、上記の疑惑のさまざまな形跡が残っていたという。
朴大統領は10月25日に談話を発表。「就任後、一定期間、一部の資料について意見を聞いたことはあるが、補佐体系が完備されてからはやめた」としたうえで、「国民の皆様にご心配をかけた」と謝罪した。しかし、火消しの努力も実らず、「崔順実ゲート」と呼ばれる疑惑の炎は次々に燃え広がる。韓国のある調査機関の発表によると、大統領の支持率は26日時点で17・5%に急落した。これは2013年2月の就任以降、最低の数字だ。
「果たして大統領の資格があるのか」、そんな声も噴出している。29日にはソウル市内で大規模な抗議集会が開かれ、主催側推定で2万人あまりが参加した。
一方、朴大統領は30日、大統領秘書室長と首席秘書官4人の辞表を受理するなど大統領府の人事刷新に踏み切った。
渦中の崔氏は昨日、英国から帰国。検察は今日午後に崔氏を聴取する方針だが、疑惑の全容解明が進むかどうかは不透明だ。
国内では、徹底的な真相究明に加えて、大統領の辞任や弾劾を求める声が各所から上がっている。今回のスキャンダルが朴政権の足元を根本から揺るがせ、大統領自身の政治生命に致命打を与える可能性も指摘されている。(相)