考えにふけるお正月
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年末年始は、父の実家・大阪で過ごした。
年に何度か法事が行われるが、私の家族が参加するのは正月だけで、私にとっては未だに新鮮なものだったりする。一方、私の母は、元々親せきが少なかったということもあり、結婚して初めて参加した大阪での法事はカルチャーショックがすごかったそうだ。
私は、大晦日に法事の準備を手伝いながら、そこでの会話で出てくる話を聞くのが好きだ。世間話、地域の話、子どもたちの話、祖母の昔の話などなど。祖母の幼い頃の話は、今では考えられないほど壮絶で、それを時に笑い飛ばしながら話すようすに、いろいろと考えさせられた。
祖母は、例年にも増してしんどそうだった。腰が痛くて何度か休憩しながらも、最後まで人にまかせず台所に立っていた。それだけ「あたりまえ」に行ってきた法事について、祖母が近年悩んでいることも初めて知った。
法事をしないと親戚たちが顔を合わせる機会がなくなってしまう。それなら、ただ親せきで集まって食事をするのはどうか。それもそれで、気がおさまらないのだ。「自分たちだけ美味しいものを作って食べるのに、仏様にやらないわけにもいかんやろ…」。
そんな会話を通して、自分の中でもいろいろと考えにふける、そんな正月だった。(S)