寒い夜に思うこと
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連日の寒さでくじけそうになってくる。昨日はあまりの寒さに会社の中で手袋をしていた。帰りは図書館に寄って前々から予約していた本を借りたかったのに、バスを途中で降りるのがおっくうで見送った。家に着いてすぐにエアコンをつけても、やはり一番温かいのは布団の中なのでそこから出られずなにもできない。こんな時に思い出すのは、実家で過ごした冬の日のことだ。
夜、お風呂から上がって寝室に向かうと必ず暖房がつけられていて、温かい空気にふわっと包まれる瞬間が好きだった。湯冷めしないようにオモニがつけておいてくれるのだ。うちは2階が住居、1階が焼肉屋の自営業でオモニはいつも忙しく働いていたのに、私や弟がお風呂から出ると寝室の暖房はいつの間にかセットされていた。(やっぱりついていた)という安心感とオモニに対する小さな感謝の気持ちも含めて、心に残っている思い出の一つである。
中学生くらいの頃、「ワンダフルライフ」という映画を観た。死んでから死後の世界へと旅立つまでの期間、死者たちは生きていた時の「一番大切な思い出」を選ぶ。それをスタッフとともに映画として再現し、記憶が頭の中に鮮明に蘇ったとき、死者たちはその「一番大切な思い出」だけを胸に旅立っていく…というものだ。
私がもしこのような場に行ったら、どの思い出を選ぶのだろうか。冒頭の思い出の他にもいくつか思い浮かぶ場面がある。
実家がある町から車で2時間ほど走ると苫小牧市に着く。市内のデパートには小さなゲームコーナーがあり、アボジはそこに行くと必ず私たち姉弟を短い汽車に乗せてくれた。お金を入れるとオブラディ・オブラダの音楽とともに円をまわる。それに乗ることというより、アボジが楽しそうに自分たちを見ている様子を感じられるのがなんだかよかった。
また、たまの定休日に家族で町内のモスバーガーに行ったことも忘れられない。そこは全体的に木目調で天井が高く、上で換気扇のプロペラが回っているようなお洒落な店舗で、今はもうなくなってしまった。私は決まってテリヤキバーガーを食べ、よくタレをこぼしたりしながら色々とお喋りした。それだけのことだが、この場面も捨てがたい感じがする。
そんなことを考えているうちに、昨日はいつの間にか眠りについていたのでした。(理)