大阪補助金裁判の判決と5年前の提訴の時
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27日金曜日の(相)さんのブログでも報告されているが、26日、大阪補助金裁判の判決が言い渡された。大阪地裁は大阪府と市の主張を全面的に認め大阪朝鮮学園の訴えを却下する判決を下した。まったくの不当判決である。
2012年9月20日、大阪朝鮮学園は、大阪府と市が朝鮮学校に対する補助金の交付を打ち切ったことに対し府と市を提訴した。その日、大阪地裁に行って取材をした。学校関係者や保護者、弁護団、日本人支持者たちの、裁判闘争という新たな闘いへと進む高揚感、絶対に勝利するんだという決意と意気込みが、ひしひしと伝わり、取材するこちらも身震いするほどだった。
訴状は、府と市が補助金を不交付とした理由は、明らかに政治的背景を有するものであり、またそのさらに背景には朝鮮学校に対する敵視、差別、またそのような政治なり政治家の姿勢があるとその背景を明らかにし、「大阪府、大阪市が政治的理由により朝鮮学園に対して補助金を交付しなかった今回の行政処分は、子どもの学習権、ひいては、民族的マイノリティの教育への権利を明らかに侵害するものである」と問題の核心を明確にしている。
在日朝鮮人は日本の朝鮮に対する侵略と植民地支配によって生まれた存在である。いま朝鮮学校で学ぶのは、元をただせば日本の国家犯罪が原因で日本に住むようになった子どもたちだ。国際人権規約、人種差別撤廃条約及び子どもの権利条約などに照らし合わせても、それらを持ち出すまでもなく本来、日本は在日朝鮮人の民族教育を厚く保護・推進するのが当たり前だ。しかし現実は、日本の敗戦後から現在まで常に弾圧し続けてきた。
今回の判決は、「過去の国家犯罪を反省しないし責任もとらない」「北朝鮮に関連するものに対しては何をやってもゆるされる」「民族教育を潰せば在日朝鮮人は抹殺できる」…などと言っているように私には聞こえる。
5年前の提訴の際、弁護団の一人は次のように語っていた。「不支給にするのは、明らかに政治的な意図をもった悪意の要件の押し付けであり、裁量権の逸脱・乱用である。1948年の教育闘争、60年代の文部事務次官通達や外国人学校法案などに続く朝鮮学校に対する政治的な弾圧である」
判決を受けて、大阪朝鮮学園と「無償化連絡会・大阪」が声明を出している。朝鮮新報のHPにアップされているので、ぜひ一読してほしい。
〈大阪補助金裁判〉怒りをもって闘い続ける/大阪朝鮮学園声明(全文)
http://chosonsinbo.com/jp/2017/01/il-1094/
〈大阪補助金裁判〉主張の正当性は歴史が証明/「無償化連絡会・大阪」声明(全文)
http://chosonsinbo.com/jp/2017/01/il-1095/
提訴の際、弁護士はさらに、「裁判に訴えることが唯一残された方法であり、いま立ち上がらなければ、60年以上に渡り築き上げた朝鮮学校の歴史的意義と子どもたち民族教育の場が奪われてしまう。この裁判は、私にとっては、日本社会がどうあるべきかを問う裁判でもある」と語っていた。
判決が出た後、SNS上でも判決がいかに不当なものであるのか、批判する文章が数多くアップされていた。多く引用されていたのが次の言葉だ。
「敗れたのは朝鮮学校ではない、日本社会の良識であり、民主主義であり、人権意識であり、植民地主義を克服しようとする意識であると。」
日本の良識も、民主主義も、人権意識も、植民地主義を克服しようとする意識も敗れてはいけない。
5年前の提訴の時の高揚した人々の顔を忘れられない。激しい怒りをもって大阪朝鮮学園は控訴する。闘いは続く。(k)