もうすぐ“卒業”シーズン
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最近、卒業を目前に控えた大学の後輩や、大学院を卒業する同級生に会う機会があり、「卒業」について話したり考えることが増えました。
未来への希望であふれる卒業シーズンですが、複雑な気持ちにもなります。
国の差別によって傷つけられ、悔しさを抱えながら卒業していく朝鮮学校の子どもたちを思うと、胸が締め付けられるようです。
個人的に「卒業」で思い出すのは、大学を卒業する数日前、寮を出る準備が一通り落ち着いてきた頃に友人たちと作って食べたラーメン。ここで友人たちとあれこれ話して過ごすことももうないんだと思った瞬間、一気に寂しさが押し寄せてきたことを覚えています。
また、私は卒業後もそのまま東京に住むことになっていたので、周りの友人たちがそれぞれの地域に「去ってしまう」ような感覚がどこかにあり、それが寂しくてたまりませんでした。
実は今も、仲のいい後輩たちが卒業後に遠くに行ってしまうという寂しさに襲われています…(笑)
イオ3月号の特集テーマは「卒業」。その関係で、先日はもうすぐ卒業する朝大生の1人を取材しました。
初級部から16年間、親元を離れて朝鮮学校の寮で暮らした学生です。
初級部の頃、「家から通える学校に行かせてほしい」と泣きながらオモニに電話をした話や、寮で面倒を見た年の離れた後輩のことなど、たくさん話を聞きました。
印象的なのは、経済的に厳しい中、さらに寮にまで入れて朝鮮学校に送ってくれた両親への思い…。両親の選択が「間違っていなかった」ということを、卒業後の自身の姿を通して伝えたいと、まっすぐな目で話してくれました。
自分にない経験や思いを聞きながら学ぶことが多く、なんだか気が引き締められた気がしました。
卒業のときというのは、達成感や後悔、希望や不安、お世話になった人たちへの感謝の気持ちなど、いろいろなことを感じる時期だと思います。またそこには、周囲の人を含め、一人ひとりの思いやドラマがあると感じます。
特集では学校を卒業する人だけでなくたくさんの「卒業」が描かれます。
人生の先輩たちの話にも出会える貴重な機会になりそうで、とても楽しみです。(S)