イオ5月号、本日完成!
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月刊イオ5月号が完成しました! 今月号の特集は「エンディング虎の巻」、特別企画は「ヘルシー弁当計画」。前回と前々回のブログで、発案者の(愛)さんと(S)さんが詳しい内容についてそれぞれ書いています。
他にも、愛知県の同胞デイサービス施設で働く男性職員の手記、14年続く朝鮮学校「入学おめでとう応援隊」の取り組み、日本による植民地と侵略被害の証言をネットで公開する「記録する会」、広告で同胞社会を元気にする「ウリアド」の活動などなど、いつにもまして読み応えある記事が盛りだくさん。
また、今年1月26日に大阪補助金裁判の判決が出ましたが、その内容がいかに不当なものだったのか、同裁判に携わっている弁護士お二人が書いた解説・「真実から目をそむけた不当判決 大阪補助金地裁判決を読む」も掲載されています。
この文章を読むと、朝鮮学校への補助金を不支給にした国の行動、そして裁判になってからの国の主張がいかに異常で矛盾しているのかを知ることができます。とても勉強になると同時に、いろいろと思うところがありました。
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先日、東京無償化裁判の口頭弁論を傍聴しました。裁判官が交替したことによって、原告側弁護団はこれまで主張してきた内容をまとめ、新しい裁判官に裁判の論点を正確に伝えるための更新弁論を行いました(詳しい内容は4月12日の日刊イオをご参照下さい)。
喜田村洋一弁護団長は事実に則って、論理的に被告・国の発言に虚偽があることを指摘。「国会が制定した法律を、裁判所が通常に解釈していただきたい」という喜田村弁護団長の言葉が印象的でした。
東京無償化裁判は5月16日に結審を迎え、今年中には判決が下る予定とのこと。弁護団からは「喜田村弁護団長の言う通り、裁判所が通常の法解釈をしてくれれば勝てる。早く判決が出てほしい」という声も上がり、私もその時は元気をもらいました。
しかし、数日たってふと考えてみると、もやもやとした不安が広がりました。
前述の解説文「真実から目をそむけた不当判決 大阪補助金地裁判決を読む」に書かれていることが説得力を持つからこそ、話を聞けば誰もがおかしいと思うであろう主張が通らず、間違ったことが押し通されようとしている社会の現状に落ち込まされるのです。
広島でもこれまで、当事者である原告の証人尋問がすべて却下されるなど、裁判所の不条理な態度が目立ってきました。弁護団と支援者たちの熱心な働きかけによって結審の期日は延びましたが、遠くにいる私には、国と一体になっている裁判所とそれに抗う当事者たち―という構造に見え、相手にしているものの大きさに脅威を感じました。
どうしてこれらの暴挙がまかり通るのだろうと考えた時、朝鮮学校のこと、補助金や無償化問題のことが日本社会に全然知られていないのだと思い至りました。
無償化裁判はほとんどニュースになりません。国がでたらめなことをしたうえ、司法が信じられないような不当な判断を下しても、圧倒的多数の人たちはそんなこと知りもしないのが現実だと思います。
声を上げる人の数がまだまだ脅威にはならない、強引に封じ込めてしまえる規模のもの。どうにかごまかして時が過ぎてしまえば解決だ―。手を下した人たちにそう思わせてしまうくらい、一緒に声を上げる人の数がまだまだ足りないのでは。
各地の無償化裁判には毎回100人を超える支援者が駆けつけています。たくさんの人が集まると熱気が生まれ、「インパクトを与えただろう」と感じますが、社会の規模で見るとこれもやはりまだまだ小さいのでは。
愛知や東京では街頭宣伝も見ました。通行人はほとんどが無関心です。それは何も知らない人たちがほとんどだということを表しているようです。私も、自分が知らない物事は無意識にスルーしていたという自身の経験があります。
…ではどうしたらいいのでしょう(「あんたネガティブすぎだよ」と怒られてしまうかもしれません)。
ここで私が思い浮かぶのは、先月24日に開かれた「民族教育権擁護運動を全同盟をあげて力強く繰り広げていくための関東朝青員らの緊急集会」で講演された金舜植弁護士の言葉です。
金弁護士は、高校無償化制度からの朝鮮学校の除外や補助金の不支給など、民族教育に対する日本の差別・弾圧とその不当性について解説し、最後に「これまでの世代ができていない運動の仕方というものがたくさんあると思う。若い人たちの発想で、より広範な運動を展開してほしい」という激励を送ってくれました。
文科省前で行われている「金曜行動」で、群馬からきたオモニが話していたことも思い出されます。「青商会の人たちが一緒に並んでくれるだけですごく心強いのにね。いかつい人多いし、ずらーっと並んだら絶対に効果あるのに(笑)」。
笑いながら話していましたが、本当にいいアイデアだと思いました。アイデアと言うか、無償化の問題は朝鮮学校とそれを中心にする同胞コミュニティに関わる人すべての問題。そのようにしてアクションを起こすのは自然なことだよなとも感じました。
他にも、これは日本社会と日本人の問題と言って取り組まれている方々もいます。
アプローチする対象や方法を変えたり、別の分野で活躍してきた人を主体に立てたり、今まで遠かった人たちと連帯したり、見落としていたことにもういちど目を向けたり…。日本社会にもっと問題提起していくための手立てをみんなで考える時が来ているのかな、と思いました。
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すみません、脱線して5月号の宣伝以外の内容がとても長くなってしまったので、最後にもう一度PRをして終わります…。ということで、最新号のイオもぜひお手に取ってみて下さい!(理)