共謀罪ってなぁに?
広告
本日16日に国会で「共謀罪(テロなど準備罪)が可決されました。
この法律は一言で心を取り締まり、それを罰する、戦前の治安維持法の復活です。
たとえば、どこかの2人が銀行強盗を企てようとして、それを計画に移さなかった場合でも、相談したこと自体が罪になる可能性がある、トンデモナイ法律です。
取材の現場に行くと、今後は小さな集会を持つことも、参加することも難しくなる、という声が聞かれます。共謀罪の成立がもたらす、「心の萎縮効果」たるや絶大でしょう。
今日のブログでは、イオの5月号で広野省三さん(編集者)に書いていただいた共謀罪の解説を載せます。チョリ君と近所のおじさんの会話形式になっています。
まずはこの法律がどんなものなのか、読者の皆さんに知っていただきたいです。(瑛)
※写真はフォトジャーナリスト・豊田直巳さんから提供いただきました。
豊田さんのフェイスブック https://www.facebook.com/naomi.toyoda.5
Q:国会で大騒ぎ、共謀罪って何?
チョリ:いま国会で大騒ぎしている「共謀罪」ってなに?
アジョシ:「共謀罪」というのは、実際に犯罪を実行しなくても、計画段階、相談しただけでも罪に問えるという、とんでもない法律だ。
「思想や良心の自由を抑圧する、そんな危険な法律はだめ!」と世論の反発も大きく、これまで3回も廃案になっている。
だけど悪がしこい安倍政権は、今度は「テロ等準備罪」と名前を変えて、「一般の人には関係ありません」「組織的犯罪集団にだけ適用されます」「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためには必要なのです」と、一見普通の庶民とは関係がない、むしろ安心・安全な社会を作るためにはなくてはならないものというイメージを押し出し、今国会でなんとしても成立させようとしている。
しかし日本は、「テロ防止」のために13の国際条約を締結しているし、「テロ」につながるような重大犯罪については、それを未然に防ぐ手だてがすでに法制化されている。
「テロ等準備罪」の対象とされる「組織的犯罪集団」の定義はあいまいだし、それが盗聴法などと一体で使われて、警察などの判断で監視・弾圧の対象となる危険性は非常に大きい。
Q.共謀罪は誰に向けられたものなの?
チョリ:なんで、そんな危険なものを無理やり作ろうとしてるの?
アジョシ:狙いはずばり、「(資本家が権力をにぎる)いまの政権の意向に従わない者は捕まえる」「捕まるのが嫌だったら、変なこと(オレたち権力者が嫌がること)をするな」と脅し、自分たちの支配をいっそう強めようとしてるんだ。銀行と軍事産業と大企業と金持ちは、戦争でも不況でも、何があっても儲かる仕組みを作ってどんどん金をためこんでいる。いっぽう労働者・庶民・貧乏人は、働いても働いても生活は厳しく、将来が見通せず、不安と不満はものすごく高まっている。その不満の爆発を抑え込もうというのが「共謀罪」創設の本当の狙いだ。
そして労働者・庶民・貧乏人の怒りが、その本当の原因を作っている張本人の安倍たちに向かってこないようにするために、「朝鮮や中国が悪い」「あいつらは何をするかわらない」と毎日マスコミで大宣伝し、「敵」を作っているんだ。こんなものが成立したら、「さわらぬ神にたたりなし」とみんなが政権の意向を「そん度し」、「もの言えば唇寒し」で政治的無関心がいっそう広がるだろう。
チョリ:なんちゅうーエゲツナイ奴らや。他に気をつけることは?
アジョシ:歴史的に見ても、思想・言論・労働運動や文化芸術を弾圧した治安維持法なり運動の弾圧法は、常に一番適用しやすいところ、適用してもあまり批判が起こらないところから使われて、やがてそれが全面的に拡大適用されている。
高校無償化問題もそうだし、辺野古や高江の基地建設についてもそうだけど、政府の誤りに反対する人を「一般の日本人と違う」という形で攻撃をかけてくる。
そういう意味では、いまの日本社会に蔓延する朝鮮人排除の雰囲気の中で、在日朝鮮人の団体・個人にこれが適用される可能性は高い。にもかかわらず、日本人で「共謀罪」に反対する人たちの中には、こういう認識とそれに反対する意見表明が弱い。
日本人の一人であるアジョシは、こうした視点もきちんと持って、政府がかけてくる「凶暴罪」と闘わなければいけないと思っている。(5月1日記、月刊イオ5月号より転載)