政治と子育て
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今朝は雑誌の紹介をひとつ。「おそい・はやい・ひくい・たかい」。小学生から思春期・自立期BOOKで、ジャパンマニシスト社が奇数月に発行しています。
この雑誌は、10年ほど前に歌手の沢知恵さんのブログを通じて知ったのですが、タブーとされるいじめや性教育の話題にも直球で切り込む姿勢に共感し、読み続けています。色んなケースや親の本音が出ているのもいい。果てには編集人の岡崎勝さんに原稿まで依頼してしまいました。笑。
その連載が今年からイオで始まった「男子のお悩み相談室」。小学校で40年以上も子どもとすごした岡崎さんの経験がふんだんに盛り込まれ、読むとなんだか気が軽くなります。
岡崎さんのブログ「続・今日も行くがや!体育教師」も、実践的でユニークです。Http://masaruokazaki.jugem.jp/
6月中旬、同誌が主催する小さな講演を聞きに東京町田に行ってきました。
「おはひた」で人気の連載「男親〈父・祖父・近所のおじさん〉の社会学」を執筆中の社会学者・宮台真司さんのお話で、 第6回の今回は、「政治と子育て」がテーマでした。
おりしも、国政は加計学園の認可問題が話題に。文部科学省内で、大学新設に口を利いたという内部資料や告発が続いても、現政権の支持率は下がらない。その不思議はなぜか。宮台さんは、この社会が損得勘定で物事を判断するようになったからだとひも解きます。そして、その損得勘定をしているのは、家庭における親たちで、「ダメ親が増えた結果、政治家がどんなに悪事を働いても、正義、不正義で物事を判断しない。長いものにまかれていれば、大企業に就職できて得をする、といった心理が作用している」と喝破し、家庭や家族というものが、子どもの軸を育てる機能を失っていると現状分析をされました。もちろん、講義では処方箋も示されます。
どん底に落ちている子育て環境を何から変えていけるのか―。宮台さんは、今日の講演会のようなグループワークや、ご近所付き合いでがそれではないか―と提案されました。
司会のユンウンデさん、岡崎勝さんのコメントを含めて、とても刺激的な2時間で、その後、バックナンバーを引っ張りだしては、いろいろと読んでいて、飛び込んできたのが宮台さんが書いていた、この文章。
… ゴミ出しも回覧板もないマンションは便利ですが、ソーシャルキャピタル(人間関係資本)が分断された環境になります。その意味でネット不動産でセキュリティの高いマンションを選ぶのか、昔ながらの地元不動産屋に足を運び、大家さんの情報や旧住民と新住民の関係を調べるのかは、重大な選択です。が、それを気にせずに、入試偏差値ばかり気にするのは子どもの教育を考えているとは言えません。
近所と挨拶するのはわずらわしくても、面倒を切り捨てればリソースを失います。絆はコストがかかりタダ乗りできません。平時から災害時まで本気で助け合う関係を望むなら、面倒を引き受けるべきです。…(「おはひた」96号から)
講演は8月、10月にも行われるので、今から楽しみです。(瑛)