朝鮮代表、本選進出おめでとう!【平壌発6】
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平壌で7月19日から23日にかけて開催された「2018 AFC(アジアサッカー連盟)U-23選手権大会」予選。同大会に参加した朝鮮代表チームのメンバーとして朝鮮大学生2人が選出され、試合に大きく貢献しました。体育学部4年の金成純さん(右)と3年の韓勇太さん(左)です。※写真はすべて朝鮮新報社平壌支局
今予選には40の国と地域のチームが参加し、10グループに分かれて試合が行われました。各グループで1位になった10チームに加えて2位の中から上位5チーム、そして主催国チーム(中国)の計16チームが本選に進出できます。朝鮮代表は香港、台湾、ラオスと同じ7グループで勝敗を争いました。
場所は「5月1日競技場」。
結果から伝えると、朝鮮チームはみごと予選を突破! 初日は香港と1-1で引き分け、2日目は台湾に7-1で圧勝、最終日はラオスに6-0で勝利し、来年1月に中国で行われる本選への出場権を手にしました。
※朝鮮新報の電子版にも詳報が掲載されています(朝鮮語のみ)。
19日・VS香港(http://chosonsinbo.com/2017/07/0020-7/)
21日・VS台湾(http://chosonsinbo.com/2017/07/22suk-6/)
23日・VSラオス(http://chosonsinbo.com/2017/07/0024-3/)
結果も嬉しいですが、特に感動したのは在日同胞選手たちの活躍です。
予選2日目、台湾との試合・後半戦11分に他の選手との交代で初出場を果たした金成純選手は、グラウンドに降り立った瞬間から実力を発揮し10分も経たないうちに得点! 平壌市民からすれば、突然現れた顔なじみのない選手による快挙。観客席がワッ!と湧き上がりました。
私が記者席でこれを観ていた時、隣にいた朝鮮の記者が「총련선수가 넣었다!(総聯選手が入れたぞ!※朝鮮では在日同胞選手のことを総聯選手と呼びます)」と私の肩を掴んで揺らしてきました。その手からかれの興奮が伝わってきて、嬉しさで胸が熱くなりました。
金成純選手がゴールを入れた4分後に、韓勇太選手も他の選手と交代で出場。この日は試合前から大雨が降っており後半戦時は豪雨ともいえる状態だったのですが、環境の悪い中ボールに食らいついて見事1アシストを成功させました。
その後もチームで重要な役割を果たす2人を見て、隣の記者は「벌써 두각을 나타냈구만(もう頭角を現したな)」と満足そうに呟いていました。金成純選手は何度かコーナーキックも任されていました。
23日の対ラオス戦でも、後半の途中から2人が出場。在日同胞選手たちへの信頼感が伺えました。ゴールは決められませんでしたが、韓勇太選手がこの日もアシストを成功させました。
朝鮮代表チームのチュ・ソンイル責任監督は、「김성순선수는 령리하고 재간이 있다. 한용태선수는 지탱력이 좋고 돌파력이 강하다 (金成純選手は頭が切れて才能がある。韓勇太選手は身体の軸が強く、相手を突破していく力がある)」と的確な評価をしていました。
試合前の国歌斉唱の際、「愛国歌」の合唱が会場全体に鳴り響くのを聞いて大きな感動を受けたという2人。この期間に得たものは計り知れなかったようです。
韓勇太選手は「初めて朝鮮代表として国際試合に参加してみて、技術的にまだまだ課題があると感じた。すべての面でもう1ランク、2ランク、3ランク向上させないといけない。朝鮮大学校でプレーするだけでは得ることのできない考え、経験をたくさんすることができた」と話していました。
金成純選手は、「朝鮮代表として国際試合に参加するのは3度目だが、これまでは出場時間も短かったので、今回は試合に出られるよう積極的にアピールし、実際に結果も残せた。チームメイトや関係者だけでなく、人民たちも『頑張った!』と祝福してくれたことがとても嬉しかった」としながら、「フィジカルをもっと鍛えるのが課題。チームメイトたちが『(本選のある)1月にまた帰ってこい』と言ってくれたので、フィジカルの強化をベースにしながら全体的な技術向上にも努めたい」と表情を引き締めていました。
本選への期待が高まります!(理)
※おまけ:平壌ホテルでのオフショット。左から朝鮮大学校サッカー部の金鐘達コーチ、韓勇太選手、AFC U19女子代表チームの練習に参加するため朝鮮に滞在している李誠雅選手(大阪朝高3年)、金成純選手。
Unknown
>私が記者席でこれを観ていた時、隣にいた朝鮮の記者が「총련선수가 넣었다!(総聯選手が入れたぞ!※朝鮮では在日同胞選手のことを総聯選手と呼びます)」と私の肩を掴んで揺らしてきました
この「総聯選手」は、日本国から見れば明らかに「北朝鮮の手先」にすぎない存在かもしれません。
ですがその次、
>試合前の国歌斉唱の際、「愛国歌」の合唱が会場全体に鳴り響くのを聞いて大きな感動を受けたという2人
昨今の日本的国際政治論評(笑)に従えば、こういう在日選手のメンタル的反応もおそらく「洗脳教育の成果」とかにされてしまうんでしょうね。
ですが、これほど国威を賭けた(おそらくオリンピックをすら越えるそのナショナリスティックな権威は、どれだけ自国代表の技術レベルが高かろうと、ほとんどの日本人にはおそらく肌感覚では理解できないことでしょう)場において、会場全体の『愛国歌』の斉唱を聴いて思うところを新たにするという「抑圧されてきたナショナリズム」の発露は、国際的アスリートとして何物にも代え難い経験であると私は思います。