無償化裁判判決、朝鮮人を抹殺しようとするもの
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既報の通り、19日の広島での無償化裁判は、原告側の全面敗訴という判決が出た。
判決内容は、日本政府の主張をそのままなぞっただけのものである。判決の内容をまとめると、「朝鮮学校は北朝鮮や総聯の政治的な影響下にあり不当な支配を受けている、お金が生徒たちのために使われるかどうか疑わしいから適用できない」ということになる。子どもたちの民族教育を受ける権利も一般的な学習権や教育権に関する内容もなかった。
判決内容を見たときに思い返したのは、6月21日の石川県の谷本正憲知事の暴言だ。「兵糧攻めにして北朝鮮の国民を餓死させなければならない」と言い放った。その後、知事は発言を「撤回」しているが、朝鮮への制裁について、「実効性のあるものにしなければならない」「北朝鮮の国民に影響が及ぶ可能性があるが、内部から体制が崩壊していくような状況をつくることが必要だ」と発言している。
広島での判決と、この石川県知事の暴言は、根っ子を同じくするものだ。「北朝鮮とそれに繋がる者は滅亡すればよい」「朝鮮学校の子どもたちは、民族教育を受けなくてもよい」ということを言っている。
高校無償化からの排除は、明らかな差別だけれど、「差別だから悪い」という単純な問題ではない。在日朝鮮人の生存を左右するものであり、日本という国の根本をあぶりだしているものだ。
日本は過去、朝鮮を植民地支配した。その時、資源や財産を奪い、言葉を奪い、名前を奪うなど、朝鮮民族を抹殺しようとした。関東大震災では多くの朝鮮人が虐殺された。日本が敗戦し朝鮮が解放された後も、日本は在日朝鮮人を弾圧し民族教育を潰して、朝鮮人を抹殺しようとしてきた。それが今も続き、今回の広島の判決となっている。そういう意味で日本は、敗戦前も後も、本質的に変わっていない。
韓国で朝鮮学校支援の活動をしているモンダンヨンピルの権海孝代表が時事ジャーナルのインタビューに答えている(2017.7.22)。それを日本語に翻訳したものがこちら。権海孝「私たちの民族を教える朝鮮学校、日本の右翼には目に刺さったトゲのような存在」(https://blogs.yahoo.co.jp/remember_0416/14916770.html)。
インタビューのなかで権海孝代表は、朝鮮学校と広島での判決について、次のように語っている。
「日本の右翼政治勢力にとって朝鮮学校は、日本の恥ずべき戦争犯罪の歴史を毎日のように確認させる存在だ。朝鮮学校が「慰安婦」、独島、日帝強占期について、それも母国語で教えているからだ。また、朝鮮学校は、在日同胞が教育を通じて結集する窓口の役割をしている。目に刺さったトゲのようではないか。こんな朝鮮学校が生存するように支援したくないのだ。」
「現在の日本社会の方向性について知ることができる判決だと思う。日本社会が、自分たちの歴史的過ちが作り出したマイノリティにどのように対応ているのかが把握できる。日本社会が今回の訴訟の結果について恥ずかしいと思ってほしい。」
明日28日11時から大阪で高校無償化裁判の判決が言い渡される。どのような判決が出ても闘いは続く。負けるわけにはいかない。(k)