補助金再開を求め、神奈川朝高生徒が県職員と面談
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7月28日、神奈川朝鮮中高級学校の高級部3年生26人が、神奈川県庁を訪れた。
県が同校の教科書内容を理由に支給を打ち切った保護者への補助金の再開を求め、生徒ら自らが思いを県知事に伝えるためだ。
神奈川県の黒岩祐治知事が神奈川朝鮮学園の保護者へ支払われてきた補助金の2016年度支給を保留とし、17年度予算案の計上を見送ったのは今年2月。
保護者や生徒たちが行政への要請や街頭宣伝などを行い抗議してきた。
集まった生徒のうち7人と引率した教員1人が私学振興課職員2人と面談。生徒たちは1人ずつ思いを語った。
「県はいつも、県民の理解が得られないからと説明しますが、私たちも県民の1人だということを知ってほしいです」
「先日、横浜駅前で補助金再開を訴える街宣活動をし、初めてマイクを持って話しました。通行人の多くは『朝鮮』という言葉一つで私たちを避けて通りましたが、少なくても協力者がいるということに気付きました。私は、朝鮮学校を応援してくれる人たちをもっと増やしていきたいです。行政が責任を持ってその先頭に立ってほしいです」
しかし全員の言葉を聞き終えた担当職員は、開口一番、こう話した。「これまでも繰り返し説明をし、なかなかご理解をいただけていないのですが、県がしていることは朝鮮学校差別を意図したものではありません」。
そして、補助金停止までの学校と行政のやりとりなどを具体的に話し、生徒らに向け、「ですので、あなたたちには何の責任もありません。早く教科書内容を正していただき、県としても支給を再開したい」と言った。
朝鮮学校だけ教育内容にまで介入し、それを子どもの学習権より優先させて補助金をカットしたことに対し「差別」だと訴えている当事者を前に、全くかみ合わない発言だ。
県庁を後にした生徒たちは、県職員と直接話すのは初めてで少し緊張したと話しながらも、責任をすりかえたような職員の言葉に対する違和感を次々に口にしていた。
「知事に僕たちの言葉が届いたとしても、気持ちには届いていないはず」
「同じことを繰り返していても本質的には何も変わらないと感じた。もっといろんなアイディアを出して補助金を再開させたい」
県庁前では他の生徒たちが、各々の思いを書き出したプラカードを手に抗議行動をしていた。
夏休みの部活や勉強に励む中、時間を作って集まった生徒たち。中には「僕にもっとサッカーする時間をください」と書いたプラカードもあった。
一方、この日の要請活動の直前に大阪無償化裁判勝訴のニュースが飛び込んできた。
「私たちの主張が司法で認められた―」
教員と生徒たちの表情には希望も見えた。(S)