東京朝鮮学園代表ら、補助金支給再開もとめ、知事に面談要求
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首相が国会解散を発表した9月25日、小池百合子東京都知事が新党を立ち上げたことを発表した。今日は、5日前の9月20日、小池知事に面談を申し込んだ人たちがいることを伝えたい。
東京朝鮮学園の金順彦理事長をはじめとする都内の朝鮮学校教員、保護者代表ら5人。都庁を訪れ、2010年から停止されている「私立外国人学校教育運営費補助金」の再交付と、13年11月から都のHP上に掲示されている「朝鮮学校調査報告書」の取り下げを求めた。
金理事長は、「8年間要請を続けてきたが、担当者が4回も変わり、13年からは予算にすら計上されていない。財産管理に関する問題も都の指導通り改善した。都の生活文化局が自身の役割と補助金の要綱に沿って、東京朝鮮学園への補助金を一日も早く再開してほしい」と切願した。
要請には、生活文化局私学部私学行政課の2人が対応。不支給以来、50回以上にわたり都に要望を重ねてきた金理事長は、補助金を交付しない根拠を明示すべきだと主張した。
この要請に対し、私学行政課長は、「調査報告書に基づき、総合的に判断した結果」「知事の判断でもあり、都民の理解が得られない」と返答した。同課長が日本政府の就学支援金の不支給問題にまで話を広げたため、文時弘・在日本朝鮮人人権協会部長は、「都民の理解が得られないというが、ならば都はそれをどのように確認しようとしているのか。朝鮮学園に対してのみ抽象的なハードルを次々と設定するのは端的に差別。行政手続条例の趣旨からも、都は補助金の対象から朝鮮学園を除外した具体的な理由を明示する義務がある」と意見した。また、不支給を指示している小池知事に直接会って要望したいと訴えた。
都内の朝鮮学校に3人の子どもを通わせる大田区在住の申英鉉さんは、「朝鮮学校の子どもたちは、国にも都にもいじめられている。政治と教育を切り離して考えほしい。今日で4度目の要請に来たが、少しでも前に進むよう頑張っていただきたい」と思いを伝えていた。
一度は取り下げられ、小池知事就任後の16年9月に再掲載された「朝鮮学校調査報告書」について東京中高の朴龍浩教員は、「都の調査要求に本校は丁寧に対応した。しかし、完成した調査報告書を見ると、在日朝鮮人がなぜ日本に暮らし、なぜ朝鮮学校が作られたのかについて記述は短く、朝鮮学校を全体で捉えていない。これで都民が理解を深めることができるだろうか。偏見をもって表層の部分だけを切り取り、世論をミスリードしている」と差別的な報告書の取り下げを求めた。
残念ながら要請の場では、都側から補助金不支給の根拠もHPの取り下げも明示されなかった。東京朝鮮学園は、今後も要請を重ね、文書での回答を求めていく。
都が補助金を凍結したのは国が高校無償化制度から朝鮮高校を外した2010年度から。当時の石原都知事は、「朝鮮学校に張り付いて調査する」として補助金を停止。猪瀬、舛添知事時代にも事態は好転しなかった。
6年前に「朝鮮学校への補助金には法的根拠がある」というブログを書いたが、地方自治体も国に右へ倣えと、外国人の子どもへの差別を続けている。
http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/c49cc88a4a42f22dd7c0140ab61ebde2
外国人学校のなかで、唯一、補助金の対象から朝鮮学校を外している東京都。要請を取材しながら、在日コリアンは、都民として納税の義務を果たしているにも関わらず、わずかな補助金すら支給されないことに怒りが収まらなかった。理由もはっきりしない。このような馬鹿げた話があるだろうか。この間、東京朝鮮学園はあきらめずに要望を重ねているが、この声は完全に無視されている。
この問題を棚上げしたまま、東京は3年後にオリンピック開催するという。
今回の国政選挙でも、高校無償化から朝鮮学校が排除されていることや、補助金停止が選挙の争点になることはないだろう。「希望の党」に議員の一部がなだれ込んでいる民進党はかつて朝鮮学校への審査を停止した。
これが立派な大人がすることだろうか。新党の名前に強烈な違和感を感じている…(瑛)