あたりまえのこと
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昨日フェイスブックで、とても胸がジーンとする動画を見ました。一人芝居「在日バイタルチェック」などの活動で有名な、きむきがんさんが1曲の歌をうたっていたのです。
※きむさんと在日バイタルチェックについては過去の日刊イオでも紹介しています
⇒http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/b66771f6b14be4a888797e7b58bf14aa
歌のタイトルは「あたりまえのこと」。高校無償化裁判をたたかっている生徒や同胞、支援者たちに寄せて作ったものだそうです。ぜひたくさんの人にも知ってほしくて、ご本人から動画と歌詞の転載許可を頂きました。
●「あたりまえのこと」きむきがん
『あたりまえのこと』 作詞・作曲:きむきがん
口をぎゅっと結び
手をぐーにして
震える体 おさえて
自分の服を着て ただ前を向くその姿に
やがて人は心うたれ
それは大きな波となり
忘れていた何かを取り戻し
一緒に汗をかいていた
難しい事じゃない たったひとつの事
私を守る あたりまえの事
えんぴつ一本 紙一枚
ひとつひとつ学んだ言葉
それは誰かにとって親であり
誰かにとってのきょうだいで
それは誰かの友だち
誰かにとっての愛する人
だからそれは私たちの大切な場所
難しい事じゃない 人が生きるって事
世界中にある 心のふるさと
難しい事じゃない 人が生きるって事
私を守る あたりまえの事
無関心と偏見に満ちた
社会に咲く花
決して枯れることのない
情熱の花
時に折れそうになる心
励ましあって
それでも空に向かって
笑う花
難しい事じゃない たったひとつの事
私を守る あたりまえの事
難しい事じゃない 人が生きるって事
世界中にある あたりまえの事
私を守る 心のふるさと
きむさんによると、ほんの数日前に完成したそうです。どんなきっかけや思いがあってこの歌を作ったのか聞いてみると、
「裁判闘争を見守る中、子どもたちと周りの大人たちの姿が頭から離れなくて、そして、私たちが訴えている事は、特別な事でもなんでもなくて、誰にでもあたりまえに与えられる権利なんだってことをたくさんの人に知ってほしいって思って作りました」
と仰っていました。同時に、
「沖縄の辺野古でうたったら、皆さん、とっても響いてくれました。違う現場で同じ痛みを持つ仲間として通じるところがあるんでしょうね」
とも。きむさんは、沖縄の米軍基地問題に反対して、数多く現場に足を運び声をあげていらっしゃいます。
この歌を聞きながら私は、文科省前や参院会館など、数多くの場で手を震わせながらマイクを握り、自身の思いを伝える生徒やオモニたちの姿を思い出しました。表情や言葉一つひとつは毅然としていても緊張や不安はすごくあって、それが手の震えに表れているようで、いつも心が苦しくなります。
別にみんな、たたかい慣れしているわけではありません。好きでこんなにたたかっているわけではない。たくさんの人々が行き交う街の中で声を上げたり、ビラを配るのもどんなに覚悟のいることか。しかし、今はそんな姿の方が「あたりまえ」になってしまっています。たたかう人たちの「弱さ」を見た時、やっぱり絶対にこんなことはおかしいと怒りがわいてきます。
無償化問題に限らず、当事者の思いを知り、本当の「あたりまえ」に気づく人がこの社会にもっと増えていくことを望みます。
きむさんの歌もこれから広く響きわたり、きっと多くの人になにかを感じさせるのだろうと思いました。(理)