1階に住むお婆さん
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自分が住んでいるマンションでは、近所付き合いというものが全くない。
たまに出掛けるときに、住人や隣人とばったり会う時があるが、軽く会釈するくらい。
中にはこちらが挨拶しても無視する人もいるが、こんなご時世なので特に気にはならない。
ある日、帰宅して駐輪場に入ろうとすると、お婆さん二人が何やら井戸端会議をしていた。
私の住んでいるマンションの駐輪場には、よく隣のアパートに住む人がやってきては、
ゴミの分別がちゃんとなっているのかをチェックしたり、
自転車を整理したりと、何かとうちのマンションの世話をしてくれる高齢者の方々たちがいる。
何故に隣のマンションの人が、そんな事までやるのか?と疑問だが、
誰もやらないことを自ら進んでやってくれているのだから頭が上がらない。
そのうちの一人のお婆さんに、「あなたはどの部屋の方なの?」と聞かれた。
若干返答に渋る。すると、「もしかして私の部屋の上に住んでいる? ○○号室?
あぁやっぱり、いつも掃除機をかける音がするからね、掃除好きな人だな~と思ってたの」
そこまで掃除好きでもないのに、ちょっと褒められてしまった。
「人が住んいでるのがわかるでしょ。私、掃除の音が大好きなの」
お婆さんはとても穏やかにニコニコしながらそう言っていた。
てっきり、掃除機の音がうるさい、と言われるのかと思いきや、まさかの反応だったので少し驚いた。
最近はご近所トラブルなど何かと物騒な世の中。近所付き合いなんてほぼ皆無。
が、高齢者の方々とこういった細やかな交流がふとした時に訪れるので、少し心があたたかくなる。(麗)