「朝鮮の名山―白頭山を描く 崔光徳展」「クリム展2017」
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東京駅から徒歩10分、京橋のギャラリーくぼたで、ステキな絵画展が開かれています。「朝鮮の名山―白頭山を描く 崔光徳展」(ギャラリーくぼた本館2階)、もう1つは「クリム展2017」です。
崔さんは、東京朝鮮第1初中級学校をはじめ、都内の朝鮮学校で40数年間、美術教員を勤められた方で、今回教え子たちの後押しで22年ぶりに個展を開かれました。
展示された絵は40数点で、白頭山が多数を占めていました。
崔さんが描く白頭山の絵は、それはそれは様々な表情を見せてくれるものでした。満月が浮かぶ夜の山、夏にも白い雪に覆われる山々は、どれも静謐な空気を運んでくれます。
立ち止まって見入ってしまったのは、元山港に泊まる旅客線「サムジヨン」号。日本は朝鮮への輸出入を全面禁止している唯一の国ですが、サムジヨンに乗った高校時にタイムスリップし、船で行き来できる日がいつ訪れるのだろうかと、しばらくボーっとしていました。
在日朝鮮人2世の崔さんと、祖国との出会いは1974年4月のこと。在日朝鮮中央芸術団の舞台スタッフとして、在日朝鮮人画家として大きな足跡を残した金熙麗、許燻、金漢文、韓東輝さんらと訪朝し、それ以来、朝鮮の景色を描きつづけています。
崔さんは、「朝鮮半島における母なる山。すべての山脈が白頭山から始まっている」と、その多彩な表情を描くことに強い意味を見出しています。
「朝鮮戦争が終わった時、平壌は100年は復旧が難しいと言われました。それを見事に復旧させ、史跡はよみがえった。歴史を学び、朝鮮民族がどんな道を歩んできたのかを知れば、他郷に暮らすなかでも歴史の中で自分を位置づけ、自身と向き合うことができるのではないか」―2015年の暮れに崔さんが語ってくれた言葉です。「祖国を知らない若い世代に、自身のルーツが宿る祖国の風景を描きたい」と静かに語る姿は、崔さんのまっすぐな生き方を象徴しているかのようでした。
さて、すぐ隣のギャラリーで開催中の「クリム展」にも意欲的な作品が並んでいました。新年号のイオでは在日朝鮮人の美術を扱ったのですが、そこで紹介した画家たちの新作に興奮!でした。
ロ・ヨンナムさんの、3作がとくに印象深かったです。時空を飛び越える絵の力に浸れた、とてもいい時間でした。両展示は17日(日曜日)まで。(瑛)
●「朝鮮の名山―白頭山を描く 崔光徳展」(12月11~17日、最終日は16時まで、ギャラリーくぼた本館2階)
●「クリム展2017」(12月11~17日、10~19時、最終日は16時まで、ギャラリーくぼた別館)
※ギャラリーまでの道順は、http://www.gallery-kubota.co.jp/map.html