庶民の「足」-トロリーバス
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平壌市民の生活の足で代表的なものといえばトロリーバスだ。地下鉄、路面電車、バスといった公共交通機関の中でもっともポピュラーな乗り物で、こちらでは무궤도전차(無軌道電車)と呼ばれている。
平壌市内を走るトロリーバスの生産を一手に引き受けているのが平壌無軌道電車工場だ。
この工場が最近リニューアルされ、新型の車両の生産を本格的に始めているということで、取材してきた。
同工場ではここ数年、一度に多くの乗客を輸送することに重点を置いた大型車両の生産がメインに行われてきた。今回新たに開発したのは「千里馬316」型と呼ばれるモデルで、前述の大型車両に比べて半分ほどの大きさだが、よりスムーズで安全な運行を追求した改良が行われた。従来のモデルに比べて消費電力を40%カットし、振動と騒音も大幅に削減。乗降口のステップを低くし、乗り降りもより便利になった。
朝鮮で公共交通機関としてトロリーバスが導入されたのは1960年代初め。自動車がたくさん走ると排気ガスで大気が汚染されて人々の健康によくないので、電力で走るトロリーバスを公共交通機関のメインにすえて平壌の交通問題を解決すべきという方針にしたがって、61年、同工場が朝鮮で初となる国産トロリーバス「千里馬911」型を生産した。翌62年には平壌駅-蓮池洞間で初の路線が開通した。それから55年あまり―。「千里馬911」型は改良を重ねながら、今も現役で市内を走っているという。
ちなみに同工場では昨年、国内では初となる、架線からの給電と蓄電池との2重電源システムを採用した車両を開発した。停電や架線の故障、道路上での事故などの不測の事態に直面しても、搭載した蓄電池で走行が可能となっている。一日も早い全面導入が待たれる。(相)