3月20日、大阪補助金裁判高裁判決
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3月20日、15時から大阪高裁で、大阪補助金裁判判決が下されます。
この裁判は、2012年9月20日、学校法人大阪朝鮮学園が原告となり、市内の朝鮮学校に対する補助金を不支給とした処分の取消と交付の義務付けを求めた裁判です。
日本政府が高校無償化から朝鮮学校を外したのが2010年4月。ここから朝鮮学校だけを標的にした、地方自治体の補助金カットの動きが出てきますが、その先頭をきったのが大阪府の橋下徹府知事、東京都の石原慎太郎都知事でした。まさに日本政府が朝鮮学校差別のお墨つきを与えたことで、その動きは各自治体にも広がり、朝鮮学校の運営はますます厳しくなったのです。
補助金支給の経緯から説明すると、大阪朝鮮学園は、1974年度から大阪府による助成を受けるようになり、1991年度からは「私立外国人学校振興補助金」の交付を毎年受けてきました。
また、88年度からは大阪市により「義務教育に準ずる教育を実施する各種学校」として補助金の交付を長年にわたり毎年受けてきました。
しかし2010年の3月、当時の橋下徹大阪府知事は、学園に対し、
①学校法人として、朝鮮総聯と一線を画すること、
②北朝鮮指導者の肖像画を教室から外すこと、
③日本の学習指導要綱に準じた教育活動を行うこと、
④学校の財務情報を一般公開することという、いわゆる4要件を「補助金交付の条件」として唐突に示し、翌年度は、肖像画を「職員室」からも外すという要件を追加しました。
ところが、その要件に沿って措置を講じた大阪朝鮮学園の補助金交付申請に対し、大阪府は「平成24年2月に北朝鮮で行われた迎春公演に、朝鮮学校の生徒が日本から参加しており、これが学校行事としての参加ではないことが証明されない」として、同年3月29日付で補助金の不交付決定を下しました。
加えて大阪市は、大阪府による不支給の報道発表を受けた直後に不支給を発表し、3月30日付で不交付の決定を行ないました。さらに大阪市は、学園が「大阪府の補助金交付の対象となっていない」ことを不交付の理由として3月27日付で要綱を改訂・施行し、それを前年の申請に遡及して適用しました。
これを受け大阪朝鮮学園は2012年9月20日、大阪府及び大阪市に対して補助金不交付処分の取消し及び補助金を交付する旨の決定を行うことの義務付けを求める行政訴訟を起こしたのです。
しかし、17年1月26日の大阪地裁判決は、補助金を不交付にした府と市の決定は「裁量の範囲内」で処分に違法性はないとし、原告の訴えを全面的に退けました。判決は、補助金の関連法令や規則は、「交付を受けられる法的な権利を認める趣旨ではない」と指摘しました。
この判断について、朝鮮学園側の丹羽雅雄弁護団長は、「判決は、民族的マイノリティの子どもたちの学習権や教育権およびその権利を充足する教育機関の社会的な役割には一切触れていない。問題は朝鮮学校を狙い打ちにしていることにあるにも関わらず、裁判所は本質的な判断を回避し、府と市の教育行政を形式的要件論によって救済した」と非難します。
この1年間、弁護団と保護者たちは、控訴審での逆転勝利に向け、世論喚起に務めてきました。
そして迎える3月20日の高裁判決。逆転勝訴は、裁判官が一審判決に疑問を持つかどうかに、かかっています。
朝鮮学校への地方自治体の補助金は、1970年代から続けられてきたもので法的根拠もあります。
※詳しくは、日刊イオ「朝鮮学校への補助金は法的根拠がある」をごらんください。
https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/c49cc88a4a42f22dd7c0140ab61ebde2
最後に提訴時に保護者のリ・チャンリムさんが訴えた言葉を紹介します。
3月20日は大阪高裁へ!(瑛)
●なぜ朝鮮学校だけが標的に/李昶林さん
補助金の問題に関して言えば、最初の頃は行政との交渉の中で、現状維持に落ち着くのではないかと考えていました。それが、行政側の「要求」が段々とエスカレートしていき、ついには完全に不支給という事態にまで至ってしまいました。
府から「4要件」が出されたとき、保護者たちの中でもいろいろな意見が出されました。
最終的には「4要件」を呑んだわけですが、「4要件」は何の関係もない不当な要求でしかない。
補助金の支給を受けることは朝鮮学校にとって当然の権利です。
当然の権利であり、他の外国人学校がもらっている補助金を、なぜ朝鮮学校だけがもらえないのですか―。
問題は、その1点だけです。
「北朝鮮バッシング」のなかで朝鮮学校が標的にされている。そのことに同胞たちはもっと怒らないといけないし、危機感をもたなければいけない。
1世が作って守り、補助金などの権利を獲得してきた朝鮮学校。これは昔の歴史の話ではない。自分たちの代になって、「もう無理です」とは絶対に言えないし言う資格もない。高校無償化も補助金も小手先の方法では解決はありえないと思っています。
私たちはまだまだやっていない。まだまだ足らない。
朝鮮学校を守るためにもっとがんばれる。朝鮮人としての意地を見せるときだと思っています。
(朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪 共同代表、肩書きは12年提訴時、上記写真右から2番目)