全27曲!東京歌舞団・金赫淳団長のランチライブ
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総聯東京都大田支部池上分会が主催する、金赫淳・東京朝鮮歌舞団団長のランチライブ「懐かしの歌、統一の歌(그리운 노래 통일의 노래)」が3月24日、大田区池上の焼肉店「壽々苑」で行われ、2世の同胞女性をはじめとする約40人で賑わった。
2017年1月の総会で、姜誠勲分会長(49)はじめ、40代の分会委員に若返りがはかられた池上分会。月1回の分会委員会を定例化しながら、地域の活性化に努めるなかで、「オルシンたちが喜ぶことをすればどうか」との助言を受けたことから、この企画がたちあがったという。
池上分会初となる試みでは、植民地期に歌われた曲(흘러간 노래)をはじめ、1960~70年代に朝鮮民主主義人民共和国で歌われ、在日朝鮮人社会でも愛された27曲が披露されるなど、歌好きの2世たちが大満足の時間となった。
はじめに、1957年に朝鮮半島北部で生まれ、日本で発禁処分を受けた「リムジンガン(림진강)」を歌った金団長は、「祖国が引き裂かれ、生まれ故郷に行けなかった作者の思いはどれほどのものだったのだろう。かつてはこの歌が禁じられていた南出身のキム・ヨンジャさんがミレニアムを迎える年に日本の紅白歌合戦で歌ったこともある。名曲は国境を越えていきます」としみじみと語った。
金団長の美声は続き、「鴨緑江二千里(압록강이천리)」は事前に3パートを録音し、4重唱を演出するという労をとり、観客を楽しませた。
都内のデイサービスでも人気だという「失った30年(잃어버린 30년)」が流れる場面では、2世の女性たちが涙していた。
「オモニを思い出してね」とある女性。「オッケチュムも民謡も一世の右に出るものはいないわよ」。歌が記憶を呼び起こしていた。
この日の圧巻は朝鮮の名曲13連メドレー。
「南山の青い松(남산의 푸른 소나무)」「情の深いトンム(다정한 동무)」「カンソンの夕焼け(강선의 노을)」「朝鮮の星(조선의 별)」「世界にうらやむものはない(세상에 부럼없어라)」など、朝鮮の名曲を次々と披露した金団長は、「2002年の拉致問題以降、なかなか歌えなかった歌。メロディーラインを辿っただけで、鳥肌が立った」と興奮気味に話していた。
さらに、ライブは、朝鮮の三池淵管弦楽団が平昌オリンピック時に披露した「Jへ(J에게)」「サラン(사랑)」「愛の迷路(사랑의 미로)」「白頭と漢拏は私の祖国(백두와 한나는 내 조국)」と続き、大田の名士である故・梁俊植さんをモデルに作られた「息子自慢 娘自慢(아들자랑 딸자랑)」が披露されると、オッケチュムを踊りだす人たちで、場は最高潮に。元金剛山歌劇団テノール歌手で池上に暮らすソ・チュンフンさんが「ネナラ(내나라)」を歌うサプライズもあった。
金団長は、「いつも歌を通じて人のつながりを生みたいと思い、31年の歌舞団生活を過ごしてきました。今日は沢山の拍手をコマプスムニダ」と謝意を伝えていた。
この日は、遠方から朝鮮歌謡が好きな日本市民や中国朝鮮族の方も同席し和気藹々。朝鮮半島が和解ムードに包まれるなか、タイムリーな企画となった。
それにしても、金団長の徹底したプロ意識とトンポたちを楽しませようという心意気に感動しきりでした。(瑛)