大阪無償化裁判控訴審が結審、9月27日に判決
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一審の大阪地方裁判所で原告・大阪朝鮮学園側の全面勝訴判決が下された大阪朝鮮高校無償化裁判の控訴審第3回口頭弁論が4月27日、大阪高等裁判所202号法廷で行われた。
80あまりの傍聴席を求めて130人を超す同胞、日本人支援者らが裁判所にかけつけた。大阪朝鮮高級学校の生徒たちも傍聴に訪れた。
昨年7月28日に地裁で原告勝訴の判決が言い渡された大阪無償化裁判。控訴審は12月14日に始まった。今年2月14日の第2回口頭弁論で結審が見込まれていたが、裁判長が、文部科学大臣が朝高を就学支援金支給の対象として指定しなかった処分の根拠になった規程13条の適合性についての判断に行政側の裁量があるのかないのか、とくに教育基本法16条に関わるところの『不当な支配』についての裁量の有無やその範囲について控訴人(国側)、被控訴人(朝鮮学園側)双方の主張を求めたため、今回の期日が設けられた。
今回、国側は第2準備書面を提出。朝鮮学園側も第2準備書面を提出した。朝鮮学園側からは高等学校設置基準と専修学校設置基準、各種学校規定、石井拓児・名古屋大学准教授の意見書などが証拠として提出された。
朝鮮学園側の代理人である金英哲弁護士が第2準備書面の要旨陳述を行った。金弁護士は、本件規程13条適合性に関する文科大臣の裁量の有無、および教育基本法16条にかかる「不当な支配」の判断に関する大臣の裁量の有無について整理し、規程13条に適合すると認めるに至らなかったとした本件不指定処分が違法であることを主張した。
最後に玄英昭・大阪朝鮮学園理事長が代表意見陳述を行った。玄理事長は、「就学支援金支給制度から朝鮮高級学校10校だけが除外されたことによって、これまでの8年間に930人を超える大阪朝高の生徒たちが制度の適用を受けることなく悔しい思いを胸に卒業していった」とのべた。昨年7月28日、地裁での勝訴判決言い渡しの後に開かれた集会で舞台に上った大阪朝高のある女子生徒の、「やっと私たちの存在が認められた。この社会にいていいんだと言われた気がした」という発言を紹介すると、涙で言葉を詰まらせた。玄理事長は、就学支援金の受給権は生徒たちにあること、朝高生たちに一日も早く就学支援金支給制度の適用がなされるべきであることをあらためて強調するとともに、裁判官に向けて「迅速かつ公正で平等な判断」を求めた。
陳述終了後、裁判長が弁論終結を宣言し、結審となった。判決言い渡し期日は9月27日15時に定められた。
口頭弁論終了後、大阪弁護士会館10階で報告会が行われた。
報告会では、弁護団からこのたび裁判所に提出された準備書面やこの日の口頭弁論でのやり取りに関する報告がなされた。
裁判を傍聴した大阪朝高生もマイクを握り、発言した。
丹羽雅雄弁護団長は、控訴審は結審したが、判決の日まで何もしないのではなく、世論を喚起する取り組みをはじめたたかいを続けていくべきだと訴えた。
この日、裁判所に集まった人々の間では、板門店で行われていた歴史的な北南首脳会談も話題に上った。一方、傍聴の抽選が始まる14時には、名古屋から愛知無償化裁判での原告敗訴が伝えられた。
激動の一日となったこの日、裁判所に集まった同胞、日本人支援者らは控訴審でも必ずや勝利を手にしようと誓い合っていた。(相)