「蚊帳の外、日本」
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4月27日に歴史的な北南首脳会談が開かれ、同胞たちの感動の声、歓喜の姿を直接取材に赴き、肌で感じてきた私はその余韻にひたりつつ、自分の趣味が情報収集というのもあって、今回の北南首脳会談及び、板門店宣言に対する各国の反応や評価をいろいろなサイトで漁っていた。
するとこんな記事を見つけた。4月28日の東洋経済オンラインでは各国外相の声明や評価を紹介しながら、日本の評価を次のように掲載している。
「外務省は懐疑的だ。声名では『今首脳会談の実現に至るまでの韓国政府の努力を賞賛する』としながらも、『<北>朝鮮が、関連安保理決議の規定に則り、生物及び化学兵器を含む全ての大量破壊兵器並びにあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法による廃棄に向け、具体的な行動をとることをわが国としては強く期待します』と強い表現を用いている。」
私が注目したのは次の点だ。
「<北>朝鮮が、関連安保理決議の規定に則り、生物及び化学兵器を含む全ての大量破壊兵器並びにあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な法による廃棄に向け、具体的な行動をとることをわが国としては強く期待します」
先日、大学時代ゼミでお世話になった先生に紹介してもらった記事が、私の注目した部分を考えるうえで参考になる部分が多かった。
紹介してもらったのは、雑誌『世界』2018年4月号に掲載している、梅林宏道氏の「朝鮮半島において国連憲章を実現せよ」という記事であった。
同氏はこの記事で、朝鮮に対する安保理制裁決議について国連憲章の精神と関連付けて批評している。
そして、記事の最後の部分で、最新の朝鮮制裁決議(2017年12月22日)には次のような条項を含んでいると指摘している。
「安全保障理事会は朝鮮半島及び広く北東アジアの平和と安定を維持することの重要さを
改めて表明する。そして、状況を平和的、外交的、及び、政治的に解決するという誓約を表明するとともに理事国メンバーはもちろんその他の国々によって行われている対話を通しての平和的かつ包括的解決の努力を歓迎する。また、朝鮮半島及び、それを超える地域における緊張緩和のために努力することの重要さを強調する」。
梅林氏は他国に制裁履行を迫り、朝鮮との交渉は無意味である、軍事力を含む全てのオプションがあるとしかいわない安倍首相は、自ら安保理決議に違反していると指摘しつつ、こういった制裁決議の条項を報道しないメディアについても批判している。
このように、私が注目した部分と梅林氏の主張を照らし合わせてみると、日本政府がいかに矛盾に満ちているかがわかる。
得意分野は「外交」と標榜する安倍首相だが、激動する朝鮮半島情勢にひとつもついていけず、「蚊帳の外、日本」のみが浮き彫りになる毎日だ。(全)