歴史に残る激闘-東京朝高サッカー部インターハイ予選準決勝
広告
先週の土曜、6月23日に「全国高等学校総合体育大会」(インターハイ)サッカー東京都予選の準決勝が駒沢第2球技場で行われた。
勝てば全国行きの切符が手に入る大一番の試合。東京朝高サッカー部の対戦相手は関東第一高校。この関東一高は15年度から3年連続インターハイを出場しており、16年、17年度連続で選手権大会出場を果たしている強豪校。近年、東京朝高サッカー部の全国大会をかけた試合(インターハイ、選手権の都予選)では関東一高が立ちはだかる局面が多かった。15年度のインターハイ都予選準決勝では1-2、17年度の選手権都予選Aブロック準決勝は延長戦の末に3-4で敗れるなど悔しい思いをしている。
試合前、東京朝高選手たちは緊張している様子もなく、互いに声をかけあい、良い雰囲気のなかでアップしていた。
そして、試合開始のホイッスルとともに会場には、東京朝高サッカー部部員による応援団、応援に駆けつけた東京朝高の全校生、保護者、関係者による応援コールが鳴り響く。
前半8分、相手がPA内でハンドを犯し、東京朝高がPKを獲得。これを10番の洪悧鎭選手(3年、MF)が決め、東京朝高が先制した。
先制し、大いに盛り上がる応援団
しかし、前半途中から相手のポゼッションも増え相手ペースに。すると同27分に東京朝高が自陣PA内でのファールによりPKを献上し失点。試合は同点になる。その後も相手の猛攻は続くが朝高は競り合いなどの局面で粘り強く対応し、気迫あふれるプレーを展開。しかし、同38分に東京朝高は一瞬のミスを突かれて失点してしまう。1-2とゲームがひっくり返される。
先制し、逆転された東京朝高。そして先制され逆転した関東一高。精神的な部分では前者のほうがダメージは大きい。しかし東京朝高選手たちのメンタルは逆転され落ち込むほどやわではない。それを象徴するかのごとく、前半終了間際に東京朝高は右サイドの深い位置まで切り込んだ2番の安准吾選手(2年、SB)から8番の尹智秀選手(3年、MF)へ、そして最後にパスを受けた10番の洪悧鎭選手(3年、MF)がミドルシュートを放ち得点する。試合は2-2の振り出しに戻り、前半を折り返す。
後半に入ると、試合は終始、東京朝高ペース。両サイドを幅広く使った攻撃で多くのチャンスを作り出す場面が増える。すると後半13分、相手がまたもハンドを犯し、東京朝高はフリーキックを得る。このフリーキックに4番の鄭攸堅選手(3年、CB)が合わせるが惜しくも外れる。
連続的な攻撃は分厚いディフェンスによって生まれるもの。東京朝高の攻撃が相手にクリアされても分厚いディフェンスを展開し、セカンド(こぼれ球)を拾いマイボールにする。そしてまた攻撃。このように後半は東京朝高が圧倒するが、決めきれない。
すると今度は相手のチャンスがめぐってくる。後半31分、相手の左サイドの素早い攻撃から失点。試合は2-3に。
点を失っても応援団は「大丈夫、おれらがいる!」といった掛け声で選手たちを鼓舞し声を張り上げる。それに応えるかのごとく、東京朝高の選手たちは怒涛の攻撃を繰り広げる。
後半36分、東京朝高のキャプテン文炯晶選手(3番、DF)が強烈なミドルシュート。しかしキーパーの好セーブに阻まれる。
後半終了間際、10番の洪悧鎭選手(3年、MF)がロングシュートを放つも、これまた相手キーパーが好セーブを連発。
後半アディショナルタイムも残りわずか。最後の猛攻がついに得点へと結びつく。東京朝高、左サイド5番の朴俊範選手(3年、SB)がクロスをあげると4番の鄭攸堅選手(3年、CB)が競り勝つ。こぼれたボールの先にいた2番の安准吾選手(2年、SB)のシュートがゴールネットを揺らし、値千金のゴールを決めた。その瞬間、選手たち、ベンチ、応援団、観客席の歓喜の雄叫びが爆発し、試合会場は最高潮に盛り上がる。同時に後半終了のホイッスルが鳴り、試合は延長戦へと続く。
延長戦は互いに一歩も譲らないゲーム展開。東京朝高の選手たちは粘り強く、同胞たちの思いを胸に、戦い抜いた。試合の決着はPK戦に委ねられた。
東京朝高の先攻から始まったPK。一回目は冷静に決め幸先の良いスタート。しかし、相手も全国出場経験のある強豪校。きっちりと決め、PKを成功させる。東京朝高は5人中4人がシュートを決める一方、関東一高は5番手までに全員が成功。これが決まると敗退してしまう。全員が固唾を呑んで見守るなか、東京朝高の守護神、姜ブラマ選手(3年、GK)は相手の5本目をセーブし、PK戦はサドンデスに。サドンデスで味方選手が失敗したが、守護神はまたも相手のシュートをとめ、2回連続でセーブ。
最終的に7人目のキッカーで勝敗が決したものの、合計スコア3-3、PK4-5という歴史に残る激闘に観客たちは心からの拍手を送った。
東京朝高選手たちの最後まであきらめずに戦い抜いた勇姿―「朝高魂」は、多くの同胞たちに力と勇気、感動を与えるものだった。関東一高との歴史に残る激闘で今後、東京朝高サッカー部に対する他校のマークはより一層きつくなり、選手権予選でも「打倒、東京朝高」をかかげ、挑んでくる高校も多くなる。冬の選手権予選では同胞たちの期待を胸に、気負うことなく「朝高魂」で全国の切符をつかみとってほしい。(全)