今年の訪朝期間中に食べた、「平壌冷麺以外の冷麺」
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先日のエントリで(麗)さんも書いていたが、現在編集作業真っ最中のイオ8月号では冷麺に関する企画を準備している。
本誌ではこれまで何度か冷麺に関する企画をやってきたが、先の板門店での北南首脳会談をきっかけに平壌冷麺にスポットライトが当たったこともあり、本格的な夏到来を前に冷麺をあらためてフィーチャーすることにした次第だ。
おいしい冷麺を食べられるお店の紹介がメインの企画となっている。先日の近畿出張の際には、本企画の取材のため、神戸市長田区にある元祖平壌冷麺屋を訪れた。
冷麺のメッカといえば平壌。平壌冷麺は冷麺の代名詞的存在だし、平壌冷麺の名店・玉流館は先の北南首脳会談を機にあらためて脚光を浴びた。
しかし、朝鮮で冷麺は、いわゆる平壌冷麺以外にもさまざまな種類があり、おいしい冷麺を食べられるお店も玉流館だけではない。
そこで、今回のエントリでは、私が今年1月から4月にかけて朝鮮に滞在した期間に食べた、平壌冷麺以外の冷麺を、食べた際の簡単なエピソードとともにいくつか紹介したい。
まずはこれ、ノンマクッス。ノンマクッスとは、ジャガイモの澱粉を原料とする冷麺のことで、平壌冷麺と双璧をなす咸興冷麺がノンマクッスの代表格だ(ちなみに、平壌冷麺の麺は「メミル(蕎麦粉)」が原料)。咸興地方でしか食べられないわけではなく、ジャガイモの産地(白頭山が位置する両江道など)ではポピュラーだし、もちろん平壌でも食べられる。写真のノンマクッスは、2015年に建造された大同江クルーズ船「ムジゲ」号内のレストランで食べたものだ。
2つ目の冷麺もノンマクッス。これは、南浦市内の某水産事業所を取材で訪れた際にごちそうになったもの。事業所の支配人の急な都合で取材時間がおして1時間近く待たされていた時に、「これでも召し上がって待っていてください」と出されたのが写真の冷麺だった。
時刻は午後3時過ぎ。取材前に昼食は済ませてきて、空腹ではなかったのだが、麺料理なのでスルスルとお腹に入ってきた。街中のレストランで出されたものではなく、職場の食堂で出される、いわば一般の従業員が普段食べる「サラメシ」としての冷麺は具材もシンプルで、素朴な味が印象に残った。
3つ目は、在日朝鮮人旅行客の定宿となっている平壌ホテルのすぐ隣にある烏灘トウモロコシ専門食堂で提供されているトウモロコシ冷麺。昼時には行列ができる人気店である同店で提供されているトウモロコシ100%の麺は一見、中華麺に似ているが、トウモロコシの香ばしさや甘み凝縮された細麺が特徴だ。酸味の利いた薄味のスープに別皿のナムルとキムチの汁を絡めて食べる。ここのトウモロコシ麺は絶品だ。(相)