伊藤孝司さんのドキュメンタリー「再会 ~日朝に別れた姉妹の58年~」
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東京無償化裁判控訴審判決のあと、新聞、テレビなどの報道を見ると、原告が負けたから、ベタ記事で報じるメディアが大部分だった。東京高裁が法律が定める当然の権利を認めない問題点を扱ったのは、神奈川新聞だけだったのではないだろうか。
日本のメディアの朝鮮報道は、なかなか改善されないが、そのなかでもしっかりと朝鮮への取材を続けているのが、フォトジャーナリストの伊藤孝司さんだ。
来る11月11日に、伊藤さんが撮った在朝日本人妻の番組が地上波で放映されるのでご紹介したい。
1959年12月から始まった在日朝鮮人の帰国事業を通じて多くの朝鮮人が朝鮮へ帰国したが、そのうち、朝鮮人と結婚していた日本人配偶者は1831人。ほとんどが女性だったという。
伊藤さんは、2017年4月から4回、朝鮮で暮らす残留日本人と日本人妻の在朝日本人たちに会い、報道を続けてきた。今回の番組は、朝鮮に渡った日本人妻・中本愛子さんと58年ぶりの再会を果たしに訪朝した妹さんのドキュメンタリー映像だ。
…日本政府が要求していた日本人妻の里帰り事業は1997年11月から始まり、3回にわたって43人が里帰りした。ところが2002年10月に予定されていた第4回は、拉致問題による日本での世論悪化を理由に急遽中止される。それに参加することになっていた愛子さんは、兄弟たちとの再会と両親の墓参りという夢を絶たれた。その時に、愛子さんを受け入れることになっていた長男の紘一さんは09年に亡くなる…。(伊藤さんのHPから)
見逃した方のために、2018年11月12日(月)深夜に大阪ローカルで放映される1時間番組をお知らせしたい。
私も10月に首都圏で放映された番組を見たが、日朝の歴史に翻弄され、肉親と会えずにいる人たちの存在を思い起こすことができた。朝鮮半島融和のなかで、離散家族の面会がやっと始まったが、日本と朝鮮の間にも多くの離散家族がいる。在朝日本人妻を取材し10年以上たつが、かのじょたちの苦しみを忘れていた自分を恥じた。読者の皆さんにも、ぜひ見ていただきたい。
伊藤さんのドキュメント「再会 ~日朝に別れた姉妹の58年~」は、朝日放送テレビ、11月12日、2:55 ~ 3:55に放映される。
伊藤さんは、朝鮮が建国70年を迎えた今年、3回も訪朝された。通算40回目だという。「週刊金曜日」に定期的に記事を出されている。
平壌日記というブログhttp://kodawarijournalist.blog.fc2.com/も運営されているので、ぜひご参考ください。(瑛)