「平和と統一をうたおう!」
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前回に引き続き、ソウルで見聞きしたことを紹介したい。
12月2日、ソウルに着いてお昼ご飯を食べたあと、さっそく車に乗り込んでソウル特別市の北東に位置する蘆原区へ向かった。区民会館で「平和統一のど自慢」が開催されているという。
会場に入ると、ちょうど一人の若い女性が舞台に上がったところだった。
「南と北の人たちが一日も早く会える日が来ることを願ってうたいます」。自身の思いを交えて自己紹介を終えるとイントロが始まる。
「…우리의 이별은 너무 길다/이제 만나야만 한다/서운한 마음은 모두 잊자/우리는 하나니까(私たちの離別はあまりにも長い/もう出会わなければ/寂しい気持ちはすべて忘れよう/私たちは一つだから)…」
聞きながらハッとした。南側の有名アーティストたちが参与して2005年に制作された「그날이 오면(その日が来れば)」。私は高校生の時に、朝鮮学校の先生からこの歌を習っていたのだ。10年以上前に教室で聞いた曲。その時は(いい歌だな~)程度に思っていたが、それ以上の感慨は持たなかった。統一について感じる力、考えるための知識や経験が圧倒的に少なかったのだろう。
今回、南側の同胞が心を込めてうたっているのを見ると、なんだか自分もその場につながっているような気がしてジーンとした。
その他にも、総勢20組が自慢の歌声を披露! 参加したのは一般区民たちだが、みな驚くほど上手ですっかり聞き入ってしまった。
会場には老若男女が集まり、手には統一旗を持ちながら思い思いに声援を送っていた。
同行事を主催したのは、ソウル南北首脳会談と金正恩委員長のソウル訪問を歓迎する「蘆原市民歓迎団」。第4回目の首脳会談への期待が高まる中、18年11月上旬から呼びかけを始めた「ソウル市民歓迎団」に呼応して、市内25の自治区の中で最初に発足(11月21日)した区民単位の歓迎団だ。区内の市民社会団体が主体となり、賛同者を集めた。
発足後さっそく企画されたのが「ノウォン平和統一のど自慢」。“平和と統一をうたおう!”というコンセプトを掲げることで、歌うのが好きな区民たちの心をつかみ、行事には35のチームと個人がエントリーした。当初、想像していたよりも多くの応募があったため、本番前日にはオーディションまで行い20組まで厳選したという。審査基準には、「平和と統一への思いがどれだけあるか」という項目もあるそう。
会場では他にも、首脳会談の開催を歓迎するメッセージを書くコーナーや、北南両首脳のパネルと一緒に記念撮影できるブースも用意されていた。一般の人たちが生活の中で統一について考え表現する場が身近にあるのは素敵だなと感じた。
会場の外に出ると、歓迎ムードを盛り上げるための宣伝カーも停まっていた。
南では思っていたよりも大々的に、多くの人を取り込んで歓迎ムードが広がっていることに驚き、興奮した。(理)