提訴から6年、愛知無償化裁判控訴審第2回口頭弁論
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愛知無償化裁判控訴審第2回口頭弁論が1月28日、名古屋高等裁判所1号法廷で行われ、愛知朝鮮中高級学校高級部2年の生徒、同胞、支援者ら116人が88の傍聴席を求めて列をなした。
法廷では原告側の裵明玉弁護士が要旨陳述(準備書面5、証拠申出書に対する意見書に対する原告側の意見、訴訟進行に対する意見書)を行った。
国側は、原告側の2018年5月8日付の控訴状に対する答弁書(昨年11月に提出)において、朝鮮学校を不指定とした国側の処分理由の3点(①規定ハの削除、②愛知朝鮮高校の2012年度の教員数が、規程6条に定める必要教員数に満たないこと、③愛知中高が規程13条に適合すると認めるに至らなかった)の論理的関係性について、理由①と②および③は論理的に両立せず、そのどちらが処分の理由として成り立つのかは、時間的先後関係によると認めたが、本件不指定処分の効力発生日については、規定ハ削除の前日である2013年2月19日とみる余地もあるとしている。
この点について裵弁護士は、朝高の不指定処分の決裁文書には、「施行日は官報の掲載日に合わせるため平成25年(2013年)2月20日とした」と明記されていることから、文科省の内部的意思は2月20日付けで不指定処分を行うというものであり、2月19日には処分は成立さえしていないことは明らかであると主張した。
また、行政処分の成立と効力発生に関する過去の最高裁判例を挙げ、本件不指定処分の通知文書が愛知朝鮮学園に到達した2月21日以降に不指定処分の効力が生じたとみるべきだとしながら、不指定処分の効力が発生した2月21日以降は、2月20日の省令改正により省令ハは存在しないものとなっており、その効力発生時点において理由②及び③は本件不指定処分の理由たり得ないと指摘。したがって、不指定処分の理由は、理由①の規定ハ削除のみとなり、不指定処分の違法性審査では、省令ハの削除の違法性のみが審査される必要があり、これに反する原審判決が取り消されるべきだと主張した。
最後に、本訴訟の進行について意見をのべた裵弁護士は、「本件不指定処分の3つの不指定理由の関係性という論点は、被控訴人も認めているとおり、当審において新たに争点化されたもので、被控訴人の主張に不明確な部分も多く、控訴人らは、被控訴人の釈明に対する回答を待って、その内容によっては更なる反論を行う必要がある」としながら、「原審判決では、控訴人が十分主張立証する機会を得られず、原審では結審期日まで審理の対象とされていなかった朝鮮高校の教育内容が省令ハに基づく審査においてどのように扱われるか、私立外国人学校の教育内容を根拠として教育基本法16条1項違反を認定できるのはどのような場合かという論点について、控訴人に不利な解釈がなされ、不意打ち的な敗訴判決が下された。重要な争点について、十分な主張立証の機会が控訴人に与えられないまま結審することになれば、審理不尽となることは避けらない」とし、裁判所に形式的な進行ではなく、現在予定されている期日に加えてさらに口頭弁論期日を設けること、証人尋問の実施の要否について柔軟かつ真摯に検討し、当事者の主張立証の機会の保障を求めた。
口頭弁論の後、名古屋市内で報告集会が行われ、生徒、同胞、支援者らをはじめとする100人を超える人々が参加した。
報告集会では内河惠一弁護団長があいさつをのべた後、裵弁護士が控訴審について説明を行い、質疑応答の時間も設けられた。
裵明玉弁護士は「朝鮮学校の子どもたちを応援して平等に扱うべきであり、それが良い日本社会だという声を広げ、裁判官に示すことが大切だ」と支援を呼びかけた。
また、愛知県立大の山本かほり教授は「私たち日本社会は、植民地支配責任、植民地主義の克服として朝鮮学校の民族教育権をどう支えていくのかをこれから問うていかなければならない」と発言した。
愛知中高高級部2年生の生徒は報告集会で、「地裁判決では不当な判決が下されましたが、くじけずに生徒たちが主体となって、街頭宣伝やビラ配りなどの活動を行ってきました。無償化裁判をより多くの人たちに広めていきたい。学校では裁判の内容を学習し、自分たちに何ができるかたくさん討論していきたい。先輩たちの意志を受け継いで、勝利の日まで諦めず頑張りましょう」と力強く呼びかけた。
第3回口頭弁論は4月26日(金)、15時から名古屋高等裁判所1号法廷で行われる。(全)