校閲という仕事
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けっこう前になりますが、毎日新聞校閲グループが出している「校閲記者の目」(写真、毎日新聞出版)という本を読みました。副題に「あらゆるミスを見逃さないプロの技術」とあります。新聞の校閲というのがどのように行われているのか、今の仕事との関係もあり手に取りました。
「はじめに」の中で、次のように書かれています。「読者にとって、新聞が使っている字は正しいはずですし、内容に間違いがなくて当たり前のことと思います。校閲は、その当たり前のことを、ひたすら守る仕事です」。読んでみると、校閲にまつわるさまざまなことが実践的に書かれてあり勉強になりました。新聞社の校閲担当者はここまでこだわって日々仕事をしているのかという発見もいろいろとありました。非常に面白かった。
出版物には誤字・脱字などさまざまな間違いが必ずと言っていいほど出てきます。月刊イオを作る過程でも、校閲は非常に大事な作業として取り組んでいます。しかし、間違いを根絶することができません。
本の中に、練習問題的なもので、「トランプ米大統領の勝利「号外」をチェック」というページがあり、「校閲体験」ができるようになっています。私もやってみましたが、いくつかの間違いは発見したものの、見逃したものも多くありました。校閲をやっているとわかりますが、タイトルのような大きな文字など、まさかと思うところが間違っていることが多くあります。この本では「クリントン氏破る」のタイトルが「クリトン氏破る」になっていたり…。
本にも指摘されていますが、校閲するときに最初から間違いがいくつあるかはわかりません。月刊イオの「まちがいはどこ?」のクイズなら、最初から間違いは10ヵ所と書かれていますが、実際の校閲のときは、間違いが1つなのか100なのかわからない状況で作業を進めます。100の間違いの中で99を発見しても、1つでも見逃してしまったら校閲としては0点だと指摘しています。
本にはその他に、手書き・活字時代と今のワープロ時代の間違いの違いなど、体験してきた内容がたくさん出てきて興味深く読むことができました。レストランのメニューや街中の看板などの誤字の例もたくさん出てきますが、誤字が気になって仕方がないのは校閲担当者の職業病でしょう。
来週に予定されている第2回の朝米首脳会談が無事に開かれることを、今日のこの文章に誤字・脱字などがないことを願っています。(k)