高校無償化裁判、司法による朝鮮学校の弾圧
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先週の14日、福岡地裁小倉支部で九州高校無償化裁判の判決言い渡しがあった。判決の結果は、現地で取材した(理)さんがこのブログで詳しく報告してくれた。
高校無償化裁判は、愛知と大阪(2013年1月24日提訴)、広島(13年8月1日提訴)、九州(13年12月19日提訴)、東京(14年2月17日提訴)と5ヵ所で裁判が行われており、今回、九州で判決が言い渡されたことにより、地裁での判決がすべて出たこととなる。
しかし、大阪と東京は高裁の判決がすでに出ており(大阪が昨年9月27日、東京が昨年10月30日)、最高裁へと舞台が移っている。裁判の進行にこれほど差が出るとは思わなかった。
地裁判決は朝鮮学校側から見ると、大阪は勝訴したが、愛知、広島、東京、九州は敗訴。唯一勝訴した大阪も昨年の高裁判決で逆転敗訴となっている。5ヵ所の裁判すべてで負けているのが現状だ。
朝鮮学校側を敗訴にした判決は結局、「朝鮮学校は総聯の不当な支配を受けている」ということを理由にしている。
そもそも朝鮮高校が高校無償化から排除されるきっかけとなったのは、2010年2月に拉致担当相が「拉致問題の進展がない」という理由で、対象から外すように要請したことだった。そして、2012年12月28日、第2次安倍内閣が発足した2日後に、下村文科相は定例記者会見で高校無償化からの朝鮮学校除外を明言している。「拉致問題に進展がないこと、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいること等から、現時点での指定には国民の理解が得られず、不指定の方向で手続きを進めたい…」と。
漆間巌警察庁長官(当時)は2007年1月18日に次のように発言している。「北朝鮮が困ると言いますか、特に金の問題が一番大きいですから、そのようなものに焦点を当てて、そのような事件を摘発する」「直接拉致には関係はしない事件を摘発することによっても拉致問題の解決に近づける」。
高校無償化からの除外は、最初から最後まで政治的・外交的理由によるものであり、日本政府は在日朝鮮人を、子どもたちを、民族教育を人質として見なし、弾圧しているのである。それは、1948年4月の4.24教育闘争の時代からなにも変わっていない。朝鮮学校を敗訴にした判決は、司法も日本政府と一緒になって弾圧しているということだ。
文科省前での金曜行動で、朝大生たちが次のようなアピールをしているのを聞いたことがある。
・日本は、朝鮮解放後から一貫して在日朝鮮人の民族教育を弾圧してきた。/・在日朝鮮人と朝鮮学校は、日本にとって過去の侵略と植民地支配を忘れ去るためには非常に邪魔な存在である。/・朝鮮学校を弾圧し潰すことにより、在日朝鮮人の存在も抹殺しようとしている。
日本政府は、朝鮮学校を潰せば在日朝鮮人社会がなくなることをよく知っている。最後に残った地裁の判決だということで、今回の九州の判決は非常に注目された。裁判自体は非常に厳しい状況にあるが、民族教育を守り発展させることがわれわれの勝利なのだと思う。(k)