もう一つの「金曜行動」、霞ヶ関、丸の内で叫ぶ
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毎週金曜日、朝鮮学校の高校無償化制度適用を求める文部科学省前での「金曜行動」は、朝鮮学校関係者、支援者、同胞らなら誰もが知っているだろう。
しかし、ここ東京ではもう一つの「金曜行動」が行われていることをご存知だろうか。
「和解にあたって何が必要なのか。加害の事実は今や明らかになっている。日本政府、三菱重工は過去の過ちを繰り返さぬよう、被害者に向き合い、謝罪して賠償せよ」
毎週金曜日、朝から昼にかけて東京の外務省庁舎、三菱重工業本社前ではシュプレヒコールが響き渡る。「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」(以下、名古屋訴訟支援会)のメンバーたちの叫びだ。
「金曜行動」を行っている名古屋訴訟支援会は1998年に結成され、日本の植民地支配時に三菱重工業名古屋航空機製作所で強制労働を強いられた元女性勤労挺身隊の被害者を支援してきた。会が金曜行動を始めたのは2007年7月。被害者のハルモニたちが1999年3月1日に国(日本)と三菱重工に提訴した損害賠償訴訟が、2005年(1審)、07年(2審)に相次いで敗訴すると、直接行動に立ち上がった。(日本での裁判は08年に上告を棄却する最高裁決定が下され敗訴が確定した)
その後、原告らは12年に韓国で三菱重工を相手に提訴し、13年(1審)、15年(2審)で勝訴。18年11月29日に大法院で賠償命令を確定する判決を勝ち取った。
朝鮮人被害者らが起こした訴訟をめぐっては、昨年、南の大法院は三菱重工のほかに、新日鉄住金にも賠償命令を下している。
463回目を迎えた3月22日の「金曜行動」には、名古屋訴訟支援会の会員を含めた約10人が参加した。
朝の8時半から東京・霞ヶ関の外務省庁舎前でシュプレヒコールを叫び、ビラ配りを行う。愛知県在住の名古屋訴訟支援会の平山良平さん(71)は、月に1回は必ずこの金曜行動に参加しているという。33年間、愛知の中学校で教員を勤めた平山さんは、「日本の植民地支配責任、過去清算に人生をかけている。これは日本人自身の問題だからです。加害の歴史は明らかな事実だ。あったことを無かったことにして問題から逃げることは決して許せない。日本の恥だ」と話す。
その後、支援者たちは霞ヶ関から三菱重工の本社が位置する丸の内の二重橋ビルへ移動し、本社前でシュプレヒコールを叫ぶ。なかには、ビラを受け取り、支援者たちの声に耳を傾ける観光客の姿も見受けられた。
名古屋訴訟支援会の寺尾光身共同代表は「加害の歴史に対する口先だけではなく誠意を込めた謝罪が今の日本には求められている。今の日本は正しい歴史を直視せず、過去の問題を蒸し返す韓国はけしからんといった論調で『嫌韓』を煽っている。こういった日本の状況を打破したい。無知な状態を放置しておくわけにはいかない」と思いを話す。
イオ5月号では特別企画として「徹底解説・徴用工問題」(仮)を予定している。「徴用工」問題をひもとくQ&A、日本人支援者の声、弁護士へのインタビューなどを紹介します。この「金曜行動」についても詳細に紹介する予定です。 (全)