南で「コッソンイ」が出版
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韓国で朝鮮学校の子どもたちが綴った文集「コッソンイ―私たちは朝鮮学校の学生です《꽃송이-우리는 조선학교 학생입니다》」が4月23日に「ノモ(너머)」から出版された。
朝鮮学校を支援するために活動を続ける「ウリハッキョと子どもたちを守る市民たちの会」(以下、市民の会、孫美姫共同代表)の編集で、朝鮮学校の子どもたちの文集が南で出版されるのは初めてのことだ。
4.24教育闘争71周年にちなんで出版。朝鮮半島の北と南の首脳が発表した4.27板門店宣言発表から1周年というタイミングでもある。
2014年に生まれた「市民たちの会」は、文部科学省前での「金曜行動」に参加する朝鮮大学校生や保護者たちに刺激を受け、日本大使館前での「金曜行動」:を続けている。
本書は1978年から始まった在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクール(主催:朝鮮新報社)の入選作中、2014年から18年までの作品を中心に、南の同胞たちが朝鮮学校や在日同胞への理解を深められるような作品を選定。初級部3年から高級部3年までの52作品が掲載された。
「『コッソンイ』の出版作業は、朝鮮学校の子どもたちの名前を呼んでみようという小さな試みです。朝鮮学校への関心は、かれらのありのまままの姿をそのまま見る認識から始まります」(まえがきから)
日本学校から朝鮮学校へ転校した喜びと戸惑い、地方の小さな寄宿舎学校で親元を離れて学ぶ姿、高校無償化から弾かれ、街頭で学ぶ権利を訴えるも冷たい視線を感じる高校生の胸のうち…。同胞たちの集まる焼肉屋を切り盛りするアボジの姿、自分の朝鮮名について、ハンディを抱えるきょうだいへの思いなど、どの国や学校にも転がっている日常が綴られている。
雨の日、学校までの坂道を登る福岡朝鮮初級学校の4人の児童が表紙を飾った。
全271ページ、6つのテーマ別に52の作文や詩が掲載されている。
テーマは、①誇らしいウリハッキョ、②受難の歴史、差別の歴史、③私たちは朝鮮学校の学生です、④日本政府に言いたい、⑤私たちの願いは統一、⑥私たちの日常に―。
南の小、中学校の朝鮮語教員や編集者が編集チームを組み作品選定や編集を行った。南で使われない言葉や表記法の違いについて説明を加え、朝鮮学校について知識のない人がわかるよう、学校の歴史や教科、生活についてやさしい語句解説も載せた。
在日朝鮮学生中央美術展覧会に入選した児童生徒たちの美術作品22点と、本誌や朝鮮新報が撮影した各地の子どもたちの写真もふんだんに使われ、誌面に花を添えている。
また、各章には朝鮮学校で歌われている「バスに乗って電車に乗って」(作詞:金正守、作曲:崔玉姫)はじめ6曲の歌も紹介され、QRコードを利用すると、動画サイトで歌を聞けるような工夫も凝らされた。
孫美姫共同代表は、「祖国が分断されているなか、南の社会は、日本で民族性を守るために努力する在日同胞を知らないままでした。2000年の6・15共同宣言から4・27板門店宣言までの間、金明俊監督の映画『ウリハッキョ』を通じて朝鮮学校の存在が知られ、その後、『60万回のトライ』(朴思柔監督)を見て闘い続けている朝鮮学校や在日同胞を知ることになった。また、3・1独立運動100周年を迎えるなかでテレビなどマスメディアも朝鮮学校を取りあげるようになり、金福童ハルモニが病と闘いながら朝鮮学校のことをたくさん話すなかで一般の人たちが関心を持つようになった。この本を通じて多くの市民たちの目が朝鮮学校に向かうことを願っている」と熱い思いを込める。
孫さんのインタビュー全文は、朝鮮新報朝鮮語版に掲載されている。http://chosonsinbo.com/2019/04/27-6/
コッソンイ出版記念会が4月24日、約100人が参加のもと、ソウル市内で開かれた。
会では朝鮮新報社の崔寛益主筆のお祝いメッセージが紹介され、南の小学生たちが朝鮮学校で親しまれている「バスに乗って電車に乗って」を歌い、出版を祝った。
南の市民たちが作った「コッソンイ」が手元に届き、ページを繰っていると、感動で涙がこぼれた。やっと私たちは出会えたのだ。多くの市民がこの本を手にとって、朝鮮学校の子どもたちの思いに触れてほしい。
「コッソンイ」は南で販売された本だが、朝鮮新報社でも販売する予定だ。詳細は追ってお知らせいたします。(瑛)