幼児教育・保育無償化に関する内閣府特命担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣宛の要請文 2019年9月20日
広告
2019年9月20日
内閣府特命担当大臣 衛藤晟一様
文部科学大臣 萩生田光一様
厚生労働大臣 加藤勝信様
東京朝鮮学園幼稚班保護者会
神奈川朝鮮学園幼稚班保護者会
埼玉朝鮮学園幼稚班保護者会
要請文
10月から「幼児教育・保育無償化」(以下、無償化)が実施されますが、私たちは朝鮮学園附属幼稚班(以下、朝鮮幼稚班)が、無償化の対象施設として認められ、また、保育料無償化のための財政的措置が取られますよう要請いたします。
朝鮮学園は、幼児教育の施設である幼稚班を設置運営し、朝鮮人の子どもたちの幼児教育・保育を行っており、所在地都道府県より各種学校の認可を受けています。
今回の無償化については、「子ども・子育て支援法」の趣旨からして、また朝鮮学園の保護者たちも含め広くあまねく負担する消費税が財源とされているため学園の幼稚班園児たちも適用対象になると期待しておりました。
無償化を実現するために5月10日に成立した、「改正子ども・子育て支援法」の法律案には改正の理由として、「我が国における急速な少子化の進行並びに幼児期の教育及び保育の重要性に鑑み、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図るため、市町村の確認を受けた幼児期の教育及び保育などを行う施設の利用に関する給付制度を創設するなどの措置を講ずる必要がある。この法律案を提出する理由である。」とされています。
また、同法の基本理念として、「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援の内容及び水準は、全ての子どもが健やかに成長するよう支援するもの」と謳われています。
ところが、大変遺憾ながら国の方針により、朝鮮学校やインターナショナルスクールなど各種学校の幼児教育・保育施設がこの無償化の対象施設から除外されています。
その理由は、「各種学校は、幼児教育を含む個別の教育に関する基準は無く、多種多様な教育を行っており、また、児童福祉法上、認可外保育施設に該当しないため、無償化の対象とはならない」とされています。
幼児教育・保育施設が、認可・無認可を問わず様々な設置形態を取って幼児教育・保育を行っている実態がある中で、なぜ各種学校だけが名指しで無償化対象から除外され、認可外保育としても認められないのでしょうか。
国の教育基準を満たさずに独自の幼児教育・保育を行っている点で各種学校と共通する幼稚園類似施設については、各種学校とは対照的に、保育の必要性のない子どもも含めひとつの救済措置として財政的支援が検討されています。
朝鮮学校の幼稚班が、母国語を中心に独自の幼児教育を行っているのは、母国語を学ばせたいとする保護者のニーズに呼応したものに他なりません。そうであれば、各種学校に対しても財政的支援としての給付制度を創設するなどの措置を講ずる必要があるはずです。
母国語を学び、自己のアイデンティティーを育む教育を受ける権利は国際法上認められており、その実現のための措置を講じることは締約国である日本政府に課せられた義務でもあります。
今年2月1日に採択された、国連子どもの権利委員会の総括所見では日本政府に対し、「高校無償化制度」の朝鮮学校への適用を促進するために基準を見直すことが勧告されました。この勧告の趣旨を敷衍するならば、この度の無償化についても各種学校を適用除外とする基準を改め、朝鮮学校幼稚班も当然含められるべきでしょう。
私たちは上記のように朝鮮学校の幼稚班が無償化の対象施設として認められますよう要請いたします。
1.各種学校の幼児教育・保育施設を無償化対象と認め、朝鮮学校幼稚班のすべての園児たちの保育料を無償化すること。
2.各種学校の幼児教育・保育施設に対する国及び地方自治体による保育料無償化のための財政的措置を講じること。