「子どもたちの未来のために」~第11回中央オモニ大会レポート(下)
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第5分科《력사속에서 찾는 미래》~다시 내디디는 첫 걸음(歴史の中から探す未来~再び踏み出す第一歩)
人権問題や法律の専門家を講師に迎えて、クイズやワールドカフェを体験しながら、日本各地から集まった参加者たちとともに子どもたちの未来のことを考えるというコンセプトで行われた(ワールドカフェとは、討論の一形式で、 参加者全員がテーマとなる「問い」を共有する→小グループに分かれて、「問い」について対話を行う→得られたアイデアを模造紙に書き込んだり、掲示板に貼り付けたりなどして議論を深める→議論の内容やそこから出たアイデアを共有する、というもの)
第1部の「クイズで学ぶ『権利とウリハッキョ』」では、在日本朝鮮人人権協会副会長兼事務局長の金東鶴さんと弁護士の康仙華さんを講師に迎えて、クイズ形式で在日朝鮮人の民族教育や朝鮮学校と関連した権利獲得、擁護の歴史について学んだ。「外国籍の子どもたちにも『学ぶ権利』は保障される」「日本の学校教育法におけるウリハッキョの位置づけは『専修学校』である」「JR定期券割引、中体連・高体連加盟、国立大学受験資格は過去の私たちの権利闘争によって獲得した」「ウリハッキョへの高校無償化適用問題で、国連からの勧告は今まで3回出されている」などのQに○×形式で答えていき、講師の解説を聞きながら知識を深めていく参加者たち。
「『今、私たちが行っている権利獲得のためのたたかい(集会、デモ、街頭宣伝など)は引き続き行うべきである』、〇か×か」
最後の設問の答えは、第2部の「在日ワールドカフェ オモニたちの『TO DO』探し」に引き継がれた。パネラーとして、講師2人に加えて、神奈川朝鮮中高級学校オモニ会会長の金春美さん、大阪朝鮮高級学校オモニ会会長の高己蓮さん、北海道オモニ会会長の朴蓮淑さん、女性同盟福岡県本部子育て支援部長の片美恵さん、東京朝鮮中高級学校オモニ会会長の韓和美さんが登場した。パネラーを中心に、各地で繰り広げられている運動の経験が発表された。参加者たちは、各地のさまざまな取り組みから今後の活動のヒントを得ようという思いにあふれていた。
「2012年4月17日から始まった『火曜日行動』は先週で359回目を迎えました。呼びかけ人は日本人です。火曜日行動から学んだことは、地道にコツコツと、すぐに成果を求めず長いスパンで運動を繰り広げていくということ。大阪の同胞たちは、大阪人の気質、朝鮮人の気質もあるのか、とてもせっかちで、オモニたちも結果を早くほしがります。今日、火曜日行動をやったら明日にでも補助金がほしい(笑)。一方で、私たちは敵からも学ぶべきです。安倍政権とその支持母体である日本会議は教育や憲法改正などのテーマで長い時間をかけてじわじわと運動を繰り広げて『成果』を出しています。私たちもコツコツ、じわじわと運動を繰り広げて、必ず勝ちましょう」。大阪の高さんは、高校無償化裁判闘争が一番長く続いている地域の経験談を笑いも交えて語った。
北海道の朴さんも、今年から始めた朝鮮学校への高校無償化制度適用を求める街頭宣伝「火曜行動」にまつわる経験を披歴。月に一度の活動で、最初は10数人の参加者だったのが、現在は40人以上にまで増えたこと、街頭宣伝に朝鮮高校生とともに日本の高校生も参加していることが何ものにも代えがたい成果だとのべた。
神奈川でも、今年3月から毎月第1月曜日に街頭宣伝を行っていること、3月に地裁で原告敗訴の不当判決が出た後、10月2日から高裁で控訴審が始まる福岡でも木曜日行動を始めたことがそれぞれ報告された。
文科省前での金曜行動について「歴史、目覚め、信念」というキーワードを提示した東京の韓さんは、「金曜行動には世界からたくさんの人々が訪れ、連帯の輪が生まれている」「歴史に学ぶことの重要性」などを指摘しながら、偏見や差別はそう簡単には変わらないが、今後もたたかいを続けていくべきだと強調した。
講師の金東鶴さんも、これまでの権利闘争における在日同胞と日本人との協力の実例として東京朝鮮第9初級学校を支える「サランの会」の活動を挙げながら、「日本人の圧倒的多数は朝鮮学校のこと知らない。そこに、非常に偏った情報がメディアやインターネットを通じて入ってきている。しかし、朝鮮学校の本当の姿を見せることによって、まだまだ仲間は増やせる」と語った。
幼保無償化からの朝鮮幼稚園除外問題と関連しても、東京と大阪から現場での取り組みの報告があった。都内と府内の朝鮮幼稚園に子を通わせる保護者たちからは、地元の役所や議員らが朝鮮学校や在日朝鮮人に対する知識がなく、イチから説明しないといけない、行政が自分たちを相手にしていない態度がありありと見えることなどに怒りを表明しつつ、厳しい状況に負けずもっと果敢に運動を展開していきたいとの決意が語られた。
「志を持ったオモニたちが日本全国にいる」「小さな力を合わせて大きな変化を起こす」「私たちのたたかいを子どもたちはしっかりと目に焼き付けている。私たちの代で民族教育をつぶさせない」「子どもたちが『ウリ』に誇りをもてるように大人たちがたたかって、子どもたちの未来を広げていこう」
会場からは上に挙げたものをはじめ、さまざまな声があがった。
火曜行動に金曜行動、そして月曜、水曜、木曜…各地の活動の話を聞きながら、月曜日から金曜日まで毎週、日本のどこかで在日同胞、日本人有志らが街頭で声を上げていることに勇気づけられた。
5つの分科の会合が終わった後、参加者らはふたたび全体会合が開かれた会場に集まった。そこで、各分科での議論の内容が報告された。続いて、内閣府特命担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣にあてた「幼児教育・保育無償化」を求める要請文と文科大臣にあてた「東京・大阪『無償化』裁判最高裁上告棄却に抗議する要請文」、在日同胞女性たちに向けたアピール文が大会参加者一同の名で採択された。
その後、朝鮮学校児童・生徒たちが出演する公演も行われた。