1260円の焼肉弁当
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先日、買い物をする時間と余裕ができたため、都内まで出掛けた。
久しぶりの買い物だったため、心弾ませながらショッピングなどを楽しんだ。
目的の買い物を済ませ、家に帰ろうと駅の改札を通った時のこと。
私の横を通っていた男が、すれ違い様に腕を「ちょん」と、拳で小突いてきたのだ。
「は?」
思わず二度見した。
男は何事もなかったように通りさってしまった。
その瞬間楽しかった時間があっという間に消え去る。
「なんだあいつ」
もう、この一言に尽きる。
しかも思い返せば、私の目の前を通った女性にも、同じことをしていた。
女性ばかりを狙ってああいうことをしているんだなと理解した。
しかも気付かれない程度にちょんっと触れてきたことがなおさら腹が立つし、気分が悪い。いっそ思いっきりパンチされた方がまだマシだ。
モヤモヤしたままホームに立っていたが、ふと右手に持っていた手提げ袋の存在に気が付いた。
「焼肉弁当」
そうだ、私はいま、某百貨店で開催されていたグルメイベントで買った「1260円の焼肉弁当」を持っている。
それをビールとともにいただく楽しみがあったのだ。
「無防備な女性の腕を通りすがりにパンチして楽しむことで“生きがい”を感じているのなら、1260円の焼肉弁当を酒とともに食べるという楽しみがある私の方が!お前なんかより!絶対!!”幸せ”で“えらい”!!!!!」
そう言い聞かせてやり過ごすことにした。
腹の立つ一件だったが、高い弁当とビールを口にしただけで、この一件はすべて消え失せた。
弁当は美味しくいただきました。(麗)