得意とするものが人の役に立つこと
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先日放送の大河ドラマ「いだてん」を見ていた。
本編終了後に放送される「いだてん紀行」では、1964年の東京オリンピック開催までに、外国人とのコミュニケーションを円滑にするため日本のデザイナーたちが考案したピクトグラム(非常口マークとかのアレ)が紹介されていた。
当時、制作に携わった人のインタビューで「一目でわかる絵」という言葉が出てきた。
そのフレーズに、万国共通、誰が見てもわかる絵って確かに難しいよなぁ…とぼんやり考えていると、ふと、過去に母からあることを頼まれたことを思い出した。
高校生くらいの時だったか、オモニから「絵を描いて欲しい」とお願いされた。
ハンメが米や酒を電話注文するとき、パッと見てわかるように注文表のような絵を描いて欲しいというものだった。
恥ずかしながら、その時初めてハンメが読み書きができないことを知った。
オモニと相談しながら“一目でわかるよう”、米と酒などの絵を描いた。
ハンメが亡くなって数年後、親戚の家に行ったときにリビングにある電話台を見ると、当時私が描いたその注文表がまだあることに気付いて、思わず手に取った。
今ならパソコンでパパっと作れるが、当時はそんなものはなかったため手描きだ。
絵を描くのが昔から好きでよく落書きをしていたが、自分が得意とするものが人の役に立つことの喜びを、その時の私はまだはっきりと実感できていなかった。
ハンメはこれをどれだけ使ってくれたかな―。
自分が描いた絵が少しでも役に立っていたのなら嬉しい。
今でも、何らかの形で絵に携わっている。(麗)