創設20周年迎えた朝大政経学部法律学科
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朝鮮大学校政治経済学部法律学科の創設20周年を記念する式典と祝賀宴が11月3日、東京都内で開かれた。朝鮮大学校の韓東成学長、洪南基理事長、学科卒業生、歴代の教員、講師、関係団体の代表らが出席して盛大に催された。
法律学科は在日同胞の生活と権利を守る法律の専門家育成を理念として、1999年4月に産声を上げた。これまでの20年間で卒業生は210人を超える。弁護士、司法書士をはじめとする有資格者や、法律の専門知識を持ってさまざまな分野で活躍する卒業生は数多い。同科出身の司法試験合格者は2019年度の合格者も含めて23人と高い合格率を誇る。
今回の20周年記念行事は、朝大卒としては初の司法試験合格者で、現在福岡県で弁護士として活躍する1期生の金敏寛さんらが中心となって2年前から準備が進められてきた。
この日、北は北海道から南は沖縄まで、各地で活躍する卒業生や法律学科にゆかりのある人びとが大勢集まり、壇上で思い出を語った。当時の教員らからは、カリキュラムや講師陣の編成など学科創設の際の裏話も披露された。その一部は、本誌7月号に掲載した記事の取材の際に聞いていた話だが、あらためて一つの学科を新たに立ち上げる苦労の大きさについて知り、学科創設に向けられた関係者らの情熱に感服した次第だ。
そして、卒業生、大学関係者らが口をそろえて強調していたのが、「日本人講師らの協力なくして法律学科の発展はなかった」ということ。式典では、学科の創設と発展に大きく寄与した現職・元職の朝大教員、日本人講師らに卒業生一同の名前で感謝状が贈呈された。
また今回、実行委員会は、学科在学生へ資格試験用の学習資料・教材一式を贈り、学内に学習室を整備するなどの支援も行った。
行事の場には、2019年度司法試験に合格した同科卒業生の姿もあった。かれらは、朝鮮高校が対象から外されたまま高校無償化制度が施行された時期に高校生活を送った。その経験があって弁護士を志すようになったと語っていた。弁護士を志す理由は人それぞれだが、自らが受けた理不尽な差別の体験がバックグラウンドにあるのも、朝鮮学校出身者の特徴だろう。
法律学科創設20周年に際して、同科卒業の弁護士らが中心となって執筆した書籍『今、在日朝鮮人の人権は―若手法律家による現場からの実践レポート』(朝鮮大学校政治経済学部法律学科創設20周年記念誌刊行委員会 編著、2300円+税)も11月末に三一書房から出版される。
法律学科が誕生したのは、私が大学を卒業した翌年の1999年のこと(ちなみに、私は政治経済学部卒ではない)。この年、法律学科以外にも学部の統合や学科の新設、カリキュラムの再編が相次いだ。母校が大きく変わろうとしている—当時、社会人2年目、学生時代の思い出が鮮明に残っている中、そんな印象を受けたことが記憶に残っている。
法律学科の未来に幸あれ。(相)