京都第1初級襲撃事件から10年、京都でヘイト事件の判決
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今日からちょうど10年前の2009年12月4日、在特会などヘイト団体が京都朝鮮第1初級学校を襲撃した。事件の詳しい内容については、いろいろと検索して調べてもらいたいが、在日朝鮮人の民族教育に対するとんでもない攻撃、侵害で、遠く東京にいた私も大きなショックを受けた事件だった。当時はまだヘイトスピーチという言葉も一般的なものではなかったと記憶する。
京都第1初級の保護者たちは裁判闘争に立ち上がった。高額の損害賠償と学校周辺での街宣等の禁止を命じた判決が、14年12月9日、最高裁判所で確定している。
事件や裁判闘争の内容は、月刊イオで「在日朝鮮人を見つめて」を連載している中村一成さんの本「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」(岩波書店)に詳しいのでぜひ読んでもらいたい。
事件から10年、京都の朝鮮学校、ヘイトスピーチと関連した裁判の判決が11月29日、京都地裁で言い渡された。元在特会幹部の西村斉被告が名誉毀損罪で起訴されていた事件の判決だ。
この判決について、朝鮮新報は次のように報道している。
「同訴訟では、京都第1初級襲撃事件(2009年)で有罪判決を受けた被告が、17年4月23日、京都第1初級の跡地近隣の公園で、拡声器を用い朝鮮学園の名誉を傷つける発言を繰り返し、その様子をインターネット上に配信した行為が、名誉毀損罪に問われていた。日本でヘイトスピーチをめぐって名誉棄損罪で起訴されたのは今回の事件が初めてである。
地裁は、懲役1年6カ月の検察側の求刑に対し、罰金50万円の有罪判決を下した。
一方で、被告の行為に「公益目的」があると認定。学園側の弁護団は「ヘイトスピーチに公益目的があると断言した最悪な判決」(豊福誠二弁護士)として非難している。」
朝鮮新報の記事の全文をぜひ読んでもらいたい。
被告に有罪判決が出たが、被告の行為に「公益目的」があると認定するなど、朝鮮新報の報道にあるように「最悪な判決」だった。
被害者(学校法人京都朝鮮学園)弁護団が声明を発表し、「判決理由において、被告人の言動が民族差別であることへの明言を回避し、公益目的を認定したこと(及び量刑)は極めて不当であり、ヘイト被害を受けた学校関係者への動揺を与えている。本件のヘイトクライムとしての本質に対する判断を回避していることは、昨今の日本社会での反差別・反ヘイトスピーチの立法化の流れに逆行する判決内容と言わざるを得ない」と指摘している。
ぜひ、弁護団の声明も全文を読んでもらいたい。
09年12月の京都第1初級の事件とその後の裁判闘争で、反ヘイトの闘いは大きな前進を見せたが、今回の京都地裁判決を見ると、日本社会において反ヘイトの闘いをこれからもさらに続けていかなければならないのかと暗澹たる気持ちになる。(k)