12月20日、都内で映画「COUNTERS」特別上映会
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※最後にチケットのプレゼントに関するお知らせがあります。
東京朝鮮中高級学校のボクシング部を取り上げた映画「ウルボ~泣き虫ボクシング部」の監督、李一河さんが新しいドキュメンタリー映画を製作した。ヘイトスピーチが蔓延する日本社会と、身体を張って差別を止めようとしたカウンター集団の活動の記録を収めた、その名も「COUNTERS」。
製作のきっかけは、前作の撮影過程で李監督が数多くのヘイトスピーチを直接目撃したことにある。目を疑うような状況に衝撃を受けた李監督は、5年間にわたってヘイトデモとそれに抗する人々を追った。特に関心をひかれたのがカウンター集団「男組」だったという。
逮捕覚悟でヘイトデモ隊を妨害、ときに暴力行為もいとわないという常識外れの行動で差別を制する「男組」は、カウンター界隈でも異色を放っていた。トップに立つのは元ヤクザの高橋直輝。右翼でもある高橋が他者との関係の中で気づきを得、仲間とともに怒りを持って差別主義者たちとぶつかってきた過程が映される。
はじめに韓国で「COUNTERS」が上映されると、“悪のヒーロー”は新鮮な驚きをもって広く受け入れられた。しかし、のちに高橋から痴漢被害を受けた女性の告発が明らかになったことで、「このような人間を英雄化するのはどうなのか」といった批判が集中。#MeToo運動の高まりも相まって一時は韓国で公開が中止される事態に。
高橋は2018年に45歳で急逝しており、被害者は十分な説明・謝罪を受けられていないとしている。映画完成後にこの事実を知った李監督や製作関係者らも当惑しつつ、「決して高橋を礼賛する考えはなく、謝罪はされるべきだった」との意向を示している。
李監督が伝えたかったのは、一部の属性への異常なほどの暴力性を日常にしてしまった日本社会の異常な現在と、それぞれの良心や責務に沿って行動する日本市民自らの姿である。活動家や大学教授、ジャーナリスト、国会議員など、「男組」以外にもそれぞれのカウンターに尽力する人々の言葉が印象的だ。
また、「自分はどこかで差別をしていないか」と観客に問うことが裏テーマでもあるというが、意図せずとも、差別に反対する一方で女性の尊厳を傷つけた高橋を映すことでその点が浮き彫りになったと言える。
市民、専門家、政治家といったさまざまな人の力が結集して、16年に「ヘイトスピーチ解消法」が成立した。本作は、社会を後押ししたさまざまな“現象”のうちの一つを記録した意欲的な映画だ。(理)
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【プレゼントのお知らせ】
映画「COUNTERS」東京上映会が12月20日(金)18:30から練馬文化センター大ホールで行われる。実行委員会より、特別招待チケットを合計10名の方にプレゼント。イオ編集部へ電話かメールで(メールの場合は氏名、希望枚数、住所を明記の上)ご応募ください。
●電話:03-6820-0107/メール:io@io-web.net