さいたま市、朝鮮幼稚園にもマスク配布を決定
広告
さいたま市による新型コロナウイルス感染拡大防止のための備蓄マスク配布対象から埼玉朝鮮幼稚園が外されていた問題で、昨日13日、市は方針を転換。配布対象が拡大され、結果的に埼玉朝鮮幼稚園にも配布されることとなった。同日に開かれたさいたま市の新型コロナウイルス危機対策本部員会議(対策会議)で採択され、18時からの記者会見で清水勇人市長が発表した。
対策会議では今回、マスクの備蓄数と適正な配布数の見通しがついたことで、市が所轄外としている各種学校や国立幼稚園といった教育施設ほか、市立/私立/国立の小学校や特別支援学校にも配布対象を拡大することを決定した。
記者会見に参加できなかったため直接聞くことはできなかったが、各報道によると市長は、「枚数が限られるなか一定の線引きが必要であり朝鮮学校だから外したのではない」こと、また「抗議があったから対応したのではない」と話したという。
この間、各新聞やテレビ、SNSで事態が拡散され、さいたま市の子どもみらい局には日に100件を超える電話、メール、FAXなどが届いている。また、埼玉朝鮮幼稚園の教員、保護者、関係者ほか、日本の有志たちは連日抗議と要請を実施してきた。市長宛の抗議文、要請書も多数伝達されている。
同時に、この一件によってSNS上での誹謗中傷、埼玉朝鮮幼稚園への悪意ある電話など、新たなヘイトスピーチが大量に生まれた。大きな差別問題に発展していると言える。こういった被害やたくさんの声が届いているにもかかわらず、これに関する市からの応答はいまだ何もない。
来週には、一連の問題と関連して埼玉朝鮮幼稚園の関係者とさいたま市子ども未来局の金子博志局長による面談が行われる予定だ。初期対応に関する説明、事態の正確な認識、そして表面化してしまった差別への対応措置の検討が求められる。
また、時系列は前後するが昨13日、「誰もが共に生きる埼玉を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」による申し入れも行われ、「有志の会」共同代表5人と埼玉朝鮮幼稚園の教員、保護者、地域同胞ら約30人が市役所を訪れた。
申し入れに先立ち、共同代表の一人・猪瀬浩平さんが発言。「市による独自のマスク配布に関して、すごく英断だなと思ったし感謝した。しかし朝鮮幼稚園が外されたことを知り、いち市民であることを恥ずかしく思った。一日も早く支給してほしいし、この問題の根幹が何なのか一緒に考えていきたい」。
その言葉の通り、申し入れの場では今回の一連の事態の中で看過されてはならない重要な視点について、たくさんの話がなされた。今後を考える上で個人的にも学ぶことが多くあった。後ほどまたブログで各発言を紹介したい。(理)