朝鮮学校へアルコール消毒液と次亜塩素酸液生成機を
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新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態を受けて、日本全国各地の朝鮮学校に対してさまざまな支援が行われている。支援活動に立ち上がった有志の中には、同胞はもちろん日本人も少なくない。東京都在住の柳井章吾さんもその中の一人だ。柳井さんは都内の弁護士事務所に事務員として勤務するかたわら、今年4月、日本全国の朝鮮幼稚園にアルコール消毒液を寄贈。続いて、5月からは朝鮮大学校(東京都小平市)を含めた日本全国のすべての朝鮮学校に次亜塩素酸液生成機を届ける取り組みを始めた。
6月20日、柳井さんと、彼の取り組みに賛同する有志一行が長野朝鮮初中級学校(松本市)を訪れた。

写真右側、黒のポロシャツ、グレーのズボン姿の男性が柳井章吾さん
今回の訪問は、可能な限り各地の学校を訪れて次亜塩素酸液生成機を直接手渡したうえで、朝鮮学校に対する継続的な支援と協力関係構築の意を表したいという柳井さんの希望から行われたもの。長野訪問に先立って、岡山朝鮮初中級学校、東京朝鮮第6初級学校、南武朝鮮初級学校を訪れている。
今回、長野朝鮮初中級学校を訪問したのは、金在浩さん(マッコリ協会会長)、永野広美さん(弁護士)、コンビニ関連ユニオン執行委員長の河野正史さん(長野県在住)、NPO法人「ウリ花・朝鮮半島と日本の架け橋たち 우리는 하나다」(以下、ウリ花)代表の具幸司さん(朝鮮大学校ボクシング部コーチ)を含めた計5人。個人的な縁もあって、私も一行の学校訪問に同行した。
一行は校舎入口で同校児童・生徒、教職員らの歓迎を受けた後、同校の河舜昊校長と懇談。学校側に次亜塩素酸液生成機を寄贈した。
自身の大学受験の年に起こった朝鮮学校卒業生の国立大学受験資格問題が朝鮮学校との出会いの始まりになったと語る柳井さん。試験会場で制服姿の朝鮮高校生徒を見かけたことが朝鮮学校と自分との最初の接点だった。その後、朝大の学園祭などの機会に学校へ足を運ぶが、今年3月に起こった埼玉朝鮮幼稚園へのマスク不配布事件を受けて、言葉だけではない具体的なアクションを起こそうと仲間たちと決意したという。
今回の支援では、日本全国のすべての朝鮮学校へまんべんなく支援をすること、1回限りではない継続的な関係を構築していくこと、の2点を強調。まずは各地の朝鮮幼稚園を対象に、園児数に応じた量のアルコール消毒液を送った。
一方、今回が初の朝鮮学校訪問となった河野正史さんは、「うまい棒」1000本を学校に差し入れた。コンビニエンスストア事業に関わる労働者たちでつくる労働組合「コンビニ関連ユニオン」の執行委員長を務める河野さんは、コンビニ最王手であるセブンイレブンの本部社員でありながら、同社が加盟店に24時間営業を強要することを批判し、降格や減給などの懲戒処分やでっち上げ逮捕にも負けずに長時間労働や残業代未払いなどの実態を告発し、たたかってきた人だ。

生徒代表にお菓子を差し入れする河野正史さん(左)
かねがね朝鮮学校に対して何か支援をしたいと思っていたという河野さん。埼玉のマスク不配布事件をニュースで見て、「同じ日本で生きる人びとに対してなぜ差別をするのか」と怒りが込み上げてきた。「そんな時に、旧知の間柄の柳井さんが朝鮮学校支援の活動をしていることを知り、自分もその活動に賛同、協力を申し出た。子どもたちが喜ぶもの、と考えて思いついたのがお菓子だった」という。
柳井さん一行は今後ともさまざまな活動を通じて朝鮮学校側との継続的な協力関係を構築していきたいと話していた。(相)