大阪代表、4万240筆の署名提出
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”調査事業の前提がおかしい”
朝鮮幼稚園をはじめとする外国人学校幼児教育施設への幼保無償化を求める「100万人署名」の提出が相次ぐなか、7月15日、大阪府の朝鮮学校代表と日本人支援者が東京・永田町の衆議院議員第二会館を訪れ、4万240筆の署名と要請書を内閣府、文部科学省、厚生労働省の担当者に手渡した。
この日、要請に訪れたのは、金政義・大阪民族教育対策委員会副委員長、李俊男・大阪朝鮮学園代表理事、申千玉・大阪オモニ連絡会代表、大村和子・大阪朝鮮学校を支える会代表ら5人。尾辻かな子・衆議院議員(立憲民主党)が同席した。
5人の代表は、大阪府下の同胞と日本市民が集めた署名に込められた気持ちを伝えた。
李俊男代表理事は、「3月まで朝鮮学校で教員を務めていたが、高校無償化に次いで、なぜ幼稚園まで無償化制度から除外されるのかが理解できない。国際化を目指す、待機児童を減らすという国の方針に沿って朝鮮幼稚園では、一生懸命に園児たちを育て、延長保育もしている。ここまで国の方針通りにしているのに、なぜ対象から外されるのかがまったく理解できない」と訴えた。
「現場を見に来てほしいと、いつも言わせてもらっているが、一度も見に来られたことがない。行動に起こされないことが理解できない」
朝鮮学校を支援している大村和子さんは、「府内には朝鮮学校が9校あるが、高校無償化から除外されて10年間、自治体の補助金も不交付となり、朝鮮学校はずっと苦しい状態に置かれている」と窮状を訴えた。「朝鮮学校の子どもも親御さんも、府庁前の火曜日行動で、『日本の皆さん、どうか私たちを差別しないでください』と訴えている。日本社会に生きる日本人として恥ずかしいし、子どもたちに申し訳ない」と、苦しい胸の内を明かした。
「私は、よく朝鮮学校を訪れるが、朝鮮幼稚園では、小さいときから朝鮮語で学ぶことで、朝鮮人としての肯定感を育んでいる。日本社会の差別の中で、朝鮮語で歌ったり、踊ったりすることによって、朝鮮人として誇りをもって生きていくための教育が行われている。どうか実態を見てください。そうすれば、日本人として何をしなくてはならないかが、はっきりします」
申千玉さんは、「朝鮮学校は、すでに各種学校の認可を得ているのに、なぜわざわざ各種学校を除外したのか。認可外保育施設じゃないから、無償化の対象にならないというのはおかしい。今回、文科省が進める調査事業でも、自治体の(金銭的な)支援が条件に出されているが、この前提条件自体がおかしい」と意義を唱えた。
※調査事業に関して詳しくは以下のサイトを参照ください。
〈Q&A〉幼保無償化「調査事業」とは? 今後の幼保無償化運動は?https://www.chosonsinbo.com/jp/2020/06/sinbno-j_200629/
「息子は高校無償化から除外され、孫は幼保無償化から除外された。幼稚園から大学生まで朝鮮学校はすべて排除、この仕組みに意図があるのは明らかです」
大阪朝鮮第4初級学校幼稚班保護者の男性は、「朝鮮と日本-両国間のひずみが、朝鮮幼稚園を排除しようという動きに出ていることが残念でならない。保護者としては、実態をちゃんと見て、日本にとって、一番メリットになる方法をとってほしい」と訴えた。
金政義副委員長は、「自治体の(金銭的な)支援が調査事業の前提なので、大阪は入口から入れない。市に要望に訪れても窓口がなく、たらい回しにされている。日本の社会によくなってほしい。そのためにも、朝鮮幼稚園を幼保無償化の対象としてきちんと適用してほしい」と訴えた。
同席した尾辻議員は、「調査事業は、国の予算で行っているのに、同じような事業で自治体によってばらつきが出てくるのはおかしい」と意見した。