同胞漫画家、今昔
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イオ10月号の特集は「在日コリアンが描く、漫画の世界」(仮)です。イプニやトルトリといった愛らしいキャラクターの四コマ漫画ほか、数々の風刺画を残した全哲(チョン・チョル)さんに関する記録解説文、むかし朝鮮新報に掲載された漫画「창공에 나래쳐라(大空にはばたけ)」の作画担当者へのインタビューなど、当時の連載を知る方には懐かしく、現代の方々には新鮮な情報を準備しています。
メイン企画は「私、マンガ描いてます」。タイトルの通り、漫画を描いている同胞を紹介する内容です。漫画を描き始めたきっかけ、影響を受けた作品、制作道具や創作の進め方など…。才能ある、それぞれ個性的な20〜30代の同胞5人をインタビューします。
昨日は、イオで2014年から漫画の連載を続け、現在は表紙イラストを手掛けて下さっている李稀玉さんに話を聞きました。幼い頃から自宅ではジブリ映画のVHSが再生されており、いつもナウシカなどのキャラクターを真似て描いていたという李さん。「うまく描けない」と泣いていたら、朝鮮学校で美術教員の経験があるオモニから「練習しなかったらうまく描けないのは当たり前じゃないの!」と言われたことがあると笑いながら教えてくれました。
朝鮮の民話、日常のあるある四コマ、またドラマチックだったり爽やかな表紙の絵柄など、幅広い表現力がある李さん。しかし特に絵や漫画を専門で学んだことはないとのこと。その時ごとに、上手だな、素敵だなと思った絵や漫画をひたすら模写したり、関連する本を借りて知識の補足をしたそう。「水彩絵の具がおもちゃだった」と話していました。
漫画を初めて描いたのも物心がついた頃。「風の谷のナウシカ」の世界に、自分が作ったキャラクターを登場させ、いわゆる2次創作をすでにしていたというのだから驚きです。
さらに面白かったのは、「色彩については花屋さんで学んだ」というエピソード。思い立ったらチャレンジする性格の李さん。過去にはドイツでフローリスト(生花店などでの実務者)の専門学校に通い、勉強の一環として実際に花屋さんで経験も積みます。
オーナーが店内のディスプレイや花束の色合いに厳しい方で、右往左往、試行錯誤しながら色をとったり同僚の作る花束を見ているうち、なんとなく感覚がつかめてきたといいます。同時に「色のある絵が描きたい!」と刺激されたと振り返っていました。
まだまだ興味深い話がたくさんありました。内容は、9月中旬発行のイオ10月号にて紹介します。他4人のインタビューも楽しみです。(理)