幼保無償化問題で要請続く―広島、千葉の代表が7万9286筆の署名提出
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幼児教育・保育の無償化制度(以下、幼保無償化制度)から朝鮮幼稚園など各種学校認可の外国人学校幼保施設が除外されている問題と関連して、各地の朝鮮学校関係者らの関係府省に対する要請が引き続き行われている。8月26日には広島県、千葉県の朝鮮学校関係者や日本の支援団体代表ら9人が参議院議員会館(東京都千代田区)を訪れ、各種学校認可の幼保施設にも制度を適用するよう内閣府、文部科学省、厚生労働省の関係3府省に対して求めた。
要請の場では、一行を代表して広島朝鮮初中高級学校の李昌興校長が、広島初中高、広島朝鮮学校オモニ会、広島県平和運動センター、民族教育の未来を考える・ネットワーク広島、広島無償化裁判を支援する会の連名で安倍晋三・内閣総理大臣、衛藤晟一・内閣府特命担当大臣、萩生田光一・文部科学大臣、加藤勝信・厚生労働大臣にあてた要望書を読み上げた後、関係府省の担当者に手渡した。
続いて、昨年から行われている「100万人署名運動」を通じて広島をはじめ中四国地方の各県で集められた7万9286筆の署名を提出した。
要望書を読み上げた李昌興校長は、各種学校の外国人学校幼児教育・保育施設を幼保無償化の対象から除外したことは、「政治的、経済的または社会的関係において差別されない」とする日本国憲法や、「いかなる差別もなしに権利を尊重し確保する」とした子どもの権利条約などの国際法に反する不当な措置だと非難。無償化から除外された施設を救済すべく調査事業が行われているが、広島の朝鮮学校付属幼稚班はその対象からも除外されており、乳幼児まで差別する日本の教育政策や人権への取り組みに大いなる疑問を感じているとものべた。
李校長は、日本政府が子ども子育て支援法の趣旨と子どもの権利条約などの国際法にのっとり、朝鮮学校幼稚班をはじめ各種学校の外国人幼児教育・保育施設の関係者と保護者たちの切なる願いをくみ入れ、▼各種学校も無償化対象と認め、朝鮮学校幼稚部のすべての園児たちの保育料を無償化すること、▼当面、各種学校の幼児教育・保育施設を幼稚教育類似施設等の新たな支援の対象として認めること、の2点を要請した。
その後、李昌興校長、千葉朝鮮初中級学校の金有燮校長、平和フォーラムの佐野通夫さん(東京純心大学客員教授)、千葉朝鮮学校を支える県民ネットワークの堀川久司さんらが発言した。
李昌興校長は広島県、広島市からの補助金が不支給となっていることなど朝鮮学校が置かれた苦しい実情を吐露。コロナ禍で大変だが、子どもの教育の問題はどんなことがあっても解決しなくてはいけないとのべた。
金有燮校長は、4年前の朝日新聞の川柳の欄で紹介された「在日は苛めようねと文科相」という一句を紹介。高校無償化からの朝鮮学校除外の後、千葉でも県と市の補助金が不支給となり、今回の幼保無償化問題でも在日をいじめようと文科省が旗を振っているとのべた。金校長は、コロナ禍の中で教員に対する月給も支払えない危機的状況を救ってくれたのが日本人支援者たちの寄付だったと指摘。2ヵ月間の募金運動の結果、250人を超える人びとから350万円が集まったという。朝鮮学校に対する支援を打ち切る口実として県民感情や市民感情が挙げられるが、この250人、350万円こそが県民感情、市民感情だと思っていると金校長はのべた。(相)